検索窓
今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:396,994 hit

第九話 ページ11

バンッ

探偵社の扉が勢いよく開いた。

「おや、もう帰ってきたのかい?」

「ただいま…治…。」

「おかえり、A。」

敦に抱えられた少女とそれを出迎えるために目の前まで来た太宰がふわふわとした微笑ましい光景の中、敦、谷崎、ナオミの三人はゼェゼェと汗をかき息切れをしながらぐったりしていた。


「疲れているようだね、大方芥川か中也にでも出会ったんだろう?」

最初っからわかっていたのか太宰はケラケラと笑っていた。

「わ、わかってて行かせたんですか…。」

「そりゃあねぇ?

 言っただろ、あっちは血眼になって彼女を探してるって。

 遅かれ早かれこうなることは予想ができるさ。」

「なら、なんで行かせたんですか…。

 そんな危ないことだとわかっているのに、なんで…。」


「…彼女が望んでいたからだよ。

 それ以上の理由がいるかい?

 ポートマフィア以前にこの子は子供だ。

 そして我々は大人だ。

 大人が子供の望んでいることを叶えないでどうする。」

敦から少女を受け取ると頭を撫でながら太宰は言った。


「だがその娘をかくまい続けたらこっちにも火の粉が飛んでくるかもしれん。」

カタカタとパソコンを打ち眼鏡をくいっと上げながら国木田は言う。

「その時は私や敦君達が守るさ。」

「ほう、珍しくお前も戦うというのか。」


「私には彼女をポートマフィアに入れてしまった責任があるからね。」


微笑みながらもどこか寂しく太宰は笑う。

第十話→←第八話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (405 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
361人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃあめ - やつがれ君分かってて渡したのか……推し優しすぎだろ………すきぴ (2021年2月11日 20時) (レス) id: bcb659b3e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - いえいえ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
ごごねこ(プロフ) - 黒薔薇さん» アアアアアア!ありがとうございます!ですが描きなおしたのが勿体ないのでこのままにします!ごめんなさい!!!!!! (2019年8月21日 16時) (レス) id: 62117aa9f8 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 『http://uranai.nosv.org/uploader/common/2/e/4/2e42882cc29720f8f1d22c4dd5fa2317.png』 (2019年8月21日 16時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 勝手に保存しちゃってごめんなさい (2019年8月21日 16時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:午後の猫茶 | 作成日時:2016年6月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。