ね ぇ 、 起 こ し て よ ？ 【文スト】

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寝 て い る の は ＿ - 2024年5月12日

黒の太宰治さん。



「はぁ、全くこんな事も出来ないの？」



「す、すみません…」



太宰さんは私の上司。



「次はないと思ってね？」




不器用で失敗ばかりの私は何時も怒られてばかり。
別にだからと云って、私が太宰さんを嫌う事は無い。だって、悪いのは全部私なんだから。



「判りました」



今日も怒られた、でも次こそ大丈夫。
ちゃんと、出来る事はやってる。
最近はちゃんと夜遅くまで頑張ってるよ。



だから、少しだけ褒めて欲しい。
なんて、我儘云っても駄目だよね。




「もっと、頑張らないと…」




突然、視界が暗くなり歪んだ。
あれ。どうしたんだ。




「ん？…え？YOU…？！」



太宰さんの声が聞こえる。
だ、駄目。こんな所で倒れたらまた迷惑かけちゃう。
でも、そんな思いとは裏腹に私の意識はそこで途絶えた。




「…ん」



重い瞼を開くと、見えたのは薄汚れた白い天井。
医務室…？


あ、そっか。私倒れたんだっけ。
頭がズキンと痛んだが、我慢しつつ重い上半身を起き上がらせると、足の方の重みに気づいた。




「太宰…さん？」



足の重みの正体は太宰さんだった。



「え…？！」


太宰さんは私の足のあたりで椅子に座りつつ突っ伏して寝ているようだった。


ど、どうすればいいんだ？
寝たフリしとくのが最善か…？！



「ん、なに…あ、起きたの？」




「あ…お、起きました…！」



私がどよめいていると、起きてしまった太宰さん。



「す、すみません…私、倒れてしまったみたいで
ど、どんな処罰も受けるつもりです！」



そんな動揺している私に太宰さんは笑みを向けた。



「それは後回しでいいから、取り敢えず寝てたら？
顔のクマ、最近酷いし」



そう云うと、太宰さんは手で私の顔のクマを撫でた。



「…え？！」



「処罰は後
そんな身体じゃ罰の与えようもないしねぇ？」



すると、太宰さんは無理矢理押し倒し私に布団を掛けた。



「ほら、早く寝る事
私も一緒に寝てあげるから」




そう云うと太宰さんは、私の頭を撫でながらベッドに顔を填めた。
何故か、其れに安心してしまったのか。
私はいつの間にか眠りについていた。




「頑張るのも、程々に…ね」



私が寝たのを確認すると太宰さんは起き上がり、私に静かに接吻をした。




「好きな人…なんて残酷なんだろう」




任務の処理、はやくしないと
そう云って出ていった太宰さんを私は知る由もない。



寝起きの彼は
少し優しいみたいです。

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