十四眠り目。 ページ14
“彼”に会うのは久々だった。
何度かアジトには挨拶に行ったが、忙しい彼のこと、姿は見えなかった。
……マフィアにとって、彼は特攻隊長みたいな存在だ。
ひとまず先に送り込んで、暴れさせる。
その行く先が良くも悪くも、彼には状況を変える力があるという事を、組織は良く知っている。
だからこそ彼は使いっ走りにされることが多い。
「……A」
芥川さんは私を見て一瞬顔を綻ばせた。
彼の笑顔を見たのはひさしぶりだったけれど、微笑みの理由を十分理解しているので素直に喜べない。
芥川さんの目は、私を通して、結局あの人を見つめている。
期待したのだろう。
私がいるなら、太宰さんも来ているかもしれない、と。
……何故、彼は太宰さんに依存するのか。
解っている、太宰さんが単に、依存されるのが上手いからだ。
誰からも必要とされないこと、存在意義を見失うこと、死ぬこと、それらを一番恐れている太宰さんは昔からそうだ。
かっこつけるのが死ぬ程上手い。
……自 殺愛好家?
彼が死を望んでいるのなら、とっくのとうに私が殺している。
でも彼は、私にそんな隙を与えない。
太宰さんは、醜い位に生に固執しているのだ。
なんで解るかって、
彼と私は似た者同士だからである。
……太宰さんは教育、洗脳が上手い。
飴と鞭を存分に活用し、自分の権威を強く誇示する。
……嗚呼、反吐が出る。
「お久しぶりです、芥川さん」
そう笑ってみせると、「君、この娘の知り合いか?迷子らしいんだが……」と本官が横槍を入れる。
「迷子、か……」
「勿論嘘ですよ。
私は、
あなたのテロを止めに来ただけです」
そのまま芥川さんの持つ荷物に目を向ける。
____「斜陽」。
259人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています (2021年8月17日 14時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
すい - はじめまして。つい、一気に読みきってしまいました。 素敵な作品をありがとうございます!! (2020年8月10日 20時) (レス) id: 00923fd203 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» お気遣いの言葉、ありがとうございます。作者は受験生の身ということもあり、春までは超不定期更新が続くと思いますが、少しずつ更新して行きたいと思っております。コメントありがとうございました (2016年11月4日 4時) (レス) id: 5a4cb24d14 (このIDを非表示/違反報告)
キタ - 続き、待ってます!あ、でも無理はしないで頂きたいです……(汗 (2016年8月7日 17時) (レス) id: 8f0d08bbdf (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» まじですか……光栄すぎて言葉出ねぇです……夢主ちゃんについても、これから明らかになっていく予定ですので、どうぞ生温かい目で見守りください。コメントありがとうございました (2016年7月11日 2時) (レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水団子 | 作成日時:2016年5月15日 5時