【黒○】好きすぎて、どうしよう【赤降】

第十八話 赤○side ページ19

言いかけてた彼の言葉は第三者の出現によって遮られた。光樹は困ったように笑う。

「……食べよっか」

「ああ、おいしそうだ」

大事な話……だったのかな。よくわからない。だけど、ほとんど会ったことも話したこともない僕に一体何を？バスケの指導なら僕じゃなくても大輝とか涼太なら都内だしそっちに頼むほうが楽だろうし、そもそも他チームの個人に頼みに来るものだろうか。ぐるぐると埒のあかない思考が頭を駆け巡る。
食べながら光樹と何か話をしたが頭に入ってこなかった。

「おいしかったね。会計は僕が済ませておくから先に出ていてくれ」

「へ、は、いや俺……」

「いいんだ今日は僕の奢りだ」

勢いで言っちゃったけれど、今僕、「今日は」とか言った？この先があるかなんてわからないのに。
このままうだうだ考えても気分が暗くなるだけのような気がして僕は光樹に単刀直入続きを促すことにした。

「さっき、なにか言いかけてたかい？」

光樹は一瞬だけ目を見開いて、それから背けた。

「言いづらいことだったらまたあとででいいよ？いつまででも待とう……光樹のためなら」

ああ、なんでこんな恥ずかしいセリフをさらさらと言えちゃったのだろうか。光樹の前にいるとテンションが迷子になるみたいだ。

第十九話 降旗side→←第十七話 降旗side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す