【黒○】好きすぎて、どうしよう【赤降】

第十五話 降旗side ページ16

どこかへ行きそうになった理性になんとかしがみついて、とりあえず店に入った。カウンター席に並んで座る。目が合うとなんだかもう冷静でいられそうにないから向かい合わせの席じゃないのは好都合だった。

「俺、とんこつラーメンにしよーかな。征は？」

「僕は、……ん、んー、むむむ」

悩ましげにメニューを睨む征は笑顔の征に負けず劣らずかわいい……じゃなくて！落ち着け俺！

「征もとんこつラーメンにする？けっこうおすすめだよ」

「じゃあ、そうしてみよう」

「ん、りょうかーい。すみませーん、とんこつラーメン二つお願いします」

「……」

「……」

謎の沈黙。気まずい。非常に気まずい。ちらりと横を見る。征は職人さんの手さばきに興味津々の様子でラーメンの作られていく過程に目を輝かせていた。
なんだかおもしろいので黙って見つめていたら、征がハッとしたように俺の方に向き直った。

「ごめん、なんかぼーっとしてた。……話したいこと、あったんだよね？」

ああ、俺そんなこといって呼び出したんだっけ？話したいっていうか会いたいっていうか、何がしたかったかなんてよくわからないけど、一つだけどうしようもなくはっきりしてるのは……。

「あの、その、なんていうか」

俺が征のこと好きだってことだろ？

大丈夫、ここは結構ガヤガヤしてる。今って実はけっこうチャンスなんじゃないのか。

「俺、さ！征のこと、」

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