５３話 〜カラ松 side〜 ページ4
「……じゃあ俺は寝るから。あとは好きにしたら」
一松は大きなあくびをしてから、そう言って寝室へと戻っていった。
再び静寂に包まれる。でも、寂しくはない。一松の、その言葉の裏に隠れた兄弟たちの気持ちが、今でもじんわりと暖かい余韻を残している。
煌々と光る月は、静かに穏やかに街を照らしている。
今日までの日々を、思い返してみた。
おそ松が死んでから、飛ぶように月日が流れた気がする。
まだ1ヶ月と経っていないのに、もう何年も昔の事を想っているようだ。
ふと蘇るのは、白木の箱で眠る兄の顔。
葬儀は密葬で密やかに終えられている。事故から二日後の事だった。
彼女は仕事の都合がつかない、と葬儀には来なかった。
今思えばあれは、おそ松が死んだことを信じることが出来なくて、またそれを信じたくもなかったからだったのかもしれない。
遺影のおそ松は笑っていた。いつものように、鼻の下をこすって、子供のように。
オレたちはその“いつも”を、いつしか当たり前や日常と見紛うようになっていた。
大切な人が生きていて、毎日バカやって過ごせるのは、決して当たり前や日常などではないと、オレたちは気が付かなかった。彼女を含めて。
天国って、いい所なんだろうな。
あのおそ松が、こんなにも楽しい日常に戻ってこなくて、ずっとそっちにいるんだから。
遺影の赤いパーカーと無邪気な笑顔が、呪いのようにオレの心を締め付ける。
後ろを振り返る。眠る4つの頭が見えた。
……ぽっかりと空いていたスペースが、2つ。オレが寝ていた所と……おそ松の場所。それはまるで、長男の遅くなった帰りを待つかのように。
いやあ、ごめんごめん、呑んでた、なんてあの無邪気な笑顔でその扉を開けるんじゃないか、なんて。
身体の芯まで冷えた。もう手の感覚がない。
流石にこれ以上外にいたら風邪を引くな、と思い、部屋に戻った。
すやすや寝息を立てている弟達を起こさぬよう、そっと窓を閉めた。布団に潜ろうか潜るまいか少しばかり悩んで、結局潜らないで部屋を出た。
真っ暗な居間に降りる。あの喧騒が嘘のように静かだ。座卓のオレのポジションに座った。
そこにおそ松がいて、そっちがチョロ松で、一松はそこ、十四松はそっちでトド松がここで。
居もしない5人の顔が見える。騒がしい朝の食卓が見える。
そんな優しい幻覚に包まれて、机に突っ伏して眠った。
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紫乃原―ｼﾉﾊﾗ―(プロフ) - シバさん» あっ今向かいます！ (2018年2月16日 21時) (
レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
シバ(プロフ) - 紫乃原―ｼﾉﾊﾗ―さん» イメ画、できやした！！イラスト集のぞいてみてください｡。。起きになさらないようでしたらもう一度お書き致します！ (2018年2月16日 16時) (レス) id: 1c78cabc1b (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―ｼﾉﾊﾗ―(プロフ) - 由香さん» 由香さん！コメントありがとうございます(*´ω`*)嬉しいです！ ちまちまとにはなりますが、更新頑張るので今後も是非よろしくお願いします！ (2018年2月16日 14時) (レス) id: 8760750b24 (このIDを非表示/違反報告)
由香(プロフ) - 思わず夢中になって読んじゃいます！これからも応援してます！ (2018年2月16日 11時) (レス) id: 91048a20b2 (このIDを非表示/違反報告)
紫乃原―ｼﾉﾊﾗ―(プロフ) - シバさん» 本当ですか!?すっごい嬉しいです(´；ω；｀)ありがとうございます！はい、頑張ります！ (2018年2月10日 19時) (レス) id: bf5d35752b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫乃原―ｼﾉﾊﾗ― | 作成日時：2018年1月29日 17時
