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( 5 / 5 ) 第三者視点 ページ16

「A!!!」
「は、はははっ!!!これがお前の隠していた本当の魔力という事か」

Aを中心に巻き起こる風に煽られる髪を鬱陶しく思いながら、声を上げるエルザ。必死な彼女とは違い、肌を刺激する魔力に高笑いするジェラール。

「( これがAの本当の力…!? いや、それにしては )」

余りにも様子が可笑しい。まるで自分のモノの筈の魔力に呑み込まれよう(・・・・・・・)としているような。

「……ぐ…ッ!!」

辛うじて見えた横顔、その瞳から光は見えなくて。まるでAの意識が消えてしまったような……。そんな感覚にエルザが息を呑んだ時、地面を蹴ったA。それは今までの比にならないスピードで。

初めてジェラールの顔が苦痛に歪んだのではないだろうか。そう思う程に重い一撃が彼の腹部に命中する。

「 ── エルザ!! ……!?」

その時、後ろから聞こえて来た声。其処にはシモンから状況を聞いたナツの姿が在った。彼もまた目の前の状況を理解出来ていないのだろう。唯、このままではAが壊れてしまうという思いだけが彼を動かした。

「A!!!」

横から勢い良くAへと突っ込むナツ。その衝撃でジェラールからは離れ、ふたりは魔水晶の床へと滑り込む。そしてAの身体を押さえ付けて頬を両手で掴んでは、無理矢理にでも目を合わせる。

「………ぁ、…ナ、ツ?」
「A!」

「( Aの手首に術式…? あれで封じ込めたのか…! )」

ナツの呼び掛けに魔力に呑まれていた(・・・・・・)意識が引き戻される。そして目に光が戻る中、手首に術式が浮かんでいた。

── それは膨大な魔力を押さえていたアンクレットが破壊された際、呑み込まれる寸前に手首に書いたもの。意識が引き戻された瞬間に発動させたのだった。

「ごめん、私……」
「其処で休んでろ。へへっ、オマエの顔見れただけで満足!」

何て事は無いと安心させるように笑みを浮かべたナツは、立ち上がるとその表情を一変させてジェラールを鋭い目付きで睨み付けた。

その様子を見て、目を閉じては両手で覆うA。かなりの強度を持っている筈のアンクレットが壊れた事は彼女にも予想外だったが……それでも抑えていた自分の魔力である筈の魔力に呑まれてしまった事には情なさと恐怖を感じざるを得なかった。

「ナツ!!!」

そんな中、ジェラールへと向かおうとするナツにエルザが大きな声で呼び掛ける。やる気満々だったナツは、渋々と言った様子でエルザの方へと足を向けた。




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ムーン(プロフ) - とてもこの作品が好きです!更新頑張ってください! (2019年10月2日 23時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗葉 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/F0OOQB  
作成日時:2019年6月25日 16時

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