幸せな記念日 (ページ11)

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「え…もしかして、これ全部、太輔の私物…？」

目の前に広げた数十冊のアルバムに、驚きながら渉が言う

「うん。」

「で、全部ミツの写真なんだよね？」

「うん。」

「……はぁ………マジ、引くわぁ…」

「うん。想定内のリアクション。」

これくらいじゃ、動じない

宏光の「可愛い、カッコいい」って思う写真をカメラマンさんからこっそり譲って貰ってるうちに増えていったコレクション

自分でも凄いと思うもん、この枚数(笑)

「太輔が俺んちで選びたいって言った意味がやっと分かった気がする…。さすがのミツもこれ見たら引くよな…」

「明日宏光、うちに帰ってくるんだよ。徹夜する覚悟は出来てるけど、それでも今日中に選び出せる自信はない。」

「…だろうな…。いいよ。俺も覚悟決める…」

何を覚悟したのか分かんなかったけど、そこを突っ込むとまた怒られそうな気がするから、とりあえず笑っておいた

「まずは腹ごしらえだ。徹夜に向けてスタミナのあるものにするから。」

冷蔵庫から次々と出てくる食材…

いや…宏光の写真選ぶだけなんだけど…

渉が気合を入れて作ってくれた料理を食べて、改めて重ねられたアルバムに向かう

「何枚選ぶの？」

「取り敢えずケーキに乗せるのは2枚かな。来週ケーキの打ち合わせがあるから、念のために4・5枚選ぼうと思ってる。」

「はぁ…この山から4・5枚かぁ…」

渉は既にウンザリ顔だけど、俺はね、結構楽しみだったりするんだ

だって、普段は出来ない『宏光の写真に埋もれる』と言う幸せを味わう事が出来るんだから♪

「俺的には、可愛い写真とカッコいい写真、1枚ずつケーキに乗せたいんだ。」

「なるほど。」

「まずは…可愛い写真とカッコいい写真に分けた方がいい？」

アルバムをめくりながら、俺、選びきれるかなぁ…って呟いたら、渉が焦った声で俺を止めた

「待って待って！そんな事してたら、ミツの誕生日来ちゃうよ！どうせ、太輔の事だ。写真堪能しちゃうに決まってんだから！」

…反論できない

「とりあえず、このアルバム1冊の中から、可愛い写真とカッコいい写真、1枚ずつ選んで。」

「えぇー！選べるかなぁ？」

どれも可愛いしカッコいんだけど！

「……太輔。」

写真見ながら悶えてたら、渉の低―い重―い声が響いた

「はい、すいません。ちゃんと選びます…」

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