10年後。04 ページ16
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「綺麗じゃん。」
からかうように笑えば、彼女はもう、と柔らかく俺を睨む。
それを裏切るように浮かんでいた優しい笑みに、俺もつられるようにして笑みを浮かべた。
綺麗だな、って。率直に、そう思った。遠くから見るのと、近くで見るのは全然違う。
誰よりも白い幸福を身に纏っている彼女は、俺を見つめて笑った。
「ごめんね、わざわざ。」
「招待状もらったんだから、行くだろ。」
「でも、今忙しい時期なんでしょ？」
「十年来の友達が結婚すんだぞ。そんな事言ってられるかよ。」
それに恥ずかしそうな笑みを浮かべた彼女に、彼女の左手についているシルバーがキラリと光った。
さっき、お互いに指に嵌めあっていた２人を繋ぎとめている印。
遠い異国の地に届いた招待状に描かれていたカスミソウの花が、ぼんやりと目に浮かんだ。
「それにしても、本当に結婚するなんてな。」
花嫁に言う言葉にしては聊か失礼な言葉に、彼女は私も、と笑う。
「まだ信じられないよ。」
「ちゃんと掴まえておかないと、浮気されるぞ。」
ニヤリと笑えば、彼女は子供のようにちゃちな怒りを瞳に浮かべて笑った。
「私の旦那様は、そんな人じゃないから。」
「そーかよ。」
「若武って、ほんとうに変わらないね。」
２人で、目を合わせて笑った。２人の間を流れる空気が、かつて身を委ねていたあの雰囲気に
似ている気がして、思わずスルリと口から出て行く言葉があった。
「なぁ、アーヤ。」
１０年経っても。変わることのない彼女の愛称。大きい瞳で見つめられた先、
俺はひどく穏やかな顔をしていた。
「今、幸せ？」
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ショートピース - 最後まで感動してしまいました (12月3日 21時) (
レス) @page18 id: 863f8c46c7 (このIDを非表示/違反報告)
Laso - 深い愛情が感じられました。この作品、何回読んでも胸がジーンとします。若武の暖かい優しさに、何度泣きそうになったことか…。感動をありがとうございました！ (2019年4月4日 13時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - あけぼの７１１０さん» 失恋は辛いですよね……どんなに時間をかけてもいいので、小説に書いたように自分の気持ちを大切にされてくださいね。本当に嬉しかったです。意欲を貰いました……ありがとうございました<(＿ ＿)> (2017年7月26日 19時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - あけぼの７１１０さん» あけぼのさん、届いたコメントを読んで今までにないくらいに本当に嬉しかったです。私の書く小説を通して、誰かに何かを伝えられたら何かその人の心に影響を与えられたら、と思いながら書いているので、そう言っていただけて本当に勇気をもらいました。 (2017年7月26日 19時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
あけぼの７１１０(プロフ) - すごく泣けました(T ^ T)若武の気持ちに少し共感する自分がいました。私もつい最近失恋してしまったんですけど、若武の十年後の話で私も少しずつでいいから進まなきゃと思いました。 (2017年7月25日 19時) (レス) id: 744a83138f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kobato* | 作成日時：2017年6月12日 18時
