逃避行 08 ページ8
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足元で、完全に崩れた砂の山が波に攫われて少しずつ形を崩していく。
彼の肩に顔を埋めて、私はふと気づいた。
「……俺、」
まるで、夕凪のように。穏やかで今までで一番、満たされたような声が私に降りかかる。
ぎゅっと、抱きしめられたまま、彼は小さく笑った。
「今、初めて生まれてよかったって思ってるよ。」
何でか分かる?
投げかけられた問いに、私は静かに顔を振る。
ふ、と。笑みが零されたような気がして。顔を上げようとすると、彼は自身の肩に
押し付けるように私の頭に手を添える。
「アーヤに、出会うことが出来たから。生まれてきて……良かった。」
囁かれた言葉に、確かに胸に熱い何かが流れ込んだのが分かった。
その時確かに、私は満たされたのだ。
少しでも、彼の役に立てたことが、嬉しかったんだ。
「こんなこと、今まで感じたことないのに。」
くしゃりと、私の頭を撫でた手。
「意味が分からない。」
落とされる、笑み。
「なのに何でだろうね。」
私は、静かに彼の体温に全てを委ねる。
「何でこんなに、アーヤのことが愛しいんだろう。」
こんな感情知らないと、彼は笑った。
こんな気持ち感じたことないと、彼は笑った。
「ドクドクいってるの、分かる?」
私の耳に、彼の鼓動が流れ込んでくる。いつも余裕しか感じさせない風体から想像が
出来ないほど熱く、早く、力強い鼓動が。
サラサラとした、彼の髪が少しくすぐったい。
小さく頷くと、くぐもった笑みが聞こえた。
「……ありがとう、アーヤ。」
ほんの少し。震える黒木君の体を、僅かに濡れた彼の瞳を。
私は全てを抱きしめた。
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Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» 本当にこっちが感謝です(笑)更新したときには、是非読んでみてください* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» いやいやいや…!凛奈さんのコメントにどれだけ書く気を貰っているか…!正直に言うと、新しい作品を作ったときや更新したときに凛奈さんがコメントしてくれないかなぁ〜って思うことよくあります(笑)毎回毎回素敵な感想も頂いて…! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» 今、またなんとなく書きたいものが浮かんでいるので更新したときは是非読んでみてくださいね! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» ありがとうございます!この話は私が書く話の中でもすごく深いものといいますか…とりあえず上手く表現したいことが伝わるか不安だったんですが、そういってもらえて本当に嬉しいです!黒木は本当に泣けますよね(´;ω;`) (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - まみさん» 更新履歴まで見ててくださったんですね…(涙)更新遅くてごめんなさいOrz、こちらこそまた時間がありましたら読んでやって下さいね* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kobato* | 作成日時:2017年6月11日 19時