逃避行 03 ページ3
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「そんな事言うの、アーヤだけだよ。」
私の手の中にある彼の顔は、やっぱり今日もどこか悲しげで。
黒木君のほうこそ、どこかに飛んで行っちゃいそうで。
この潮風に吹かれて、どこまでも、どこまでも。手が届かないところまで。
一生、会えないところまで。儚く、散っていってしまいそうで。
何で、そんなに悲しそうに微笑むの。
この質問だけは、彼と出会って6年目になっても、声に出す事が出来ない。
「何する?」
黙って歩き始めた私に繋がれた手。
防波堤の上を歩く私は、彼と手を繋いだまま何をするわけでもなく歩いた。
「海って、案外何もないんだね。」
「今はシーズンじゃないからね。」
私達以外、誰もいない海。それはまるで、この世界に2人だけしかいない
ような錯覚に陥らせる。
「黒木君は何かやりたいことないの?」
「特には。」
思わず、笑みが零れる。計画性がない黒木君なんて、珍しい。
「何か可笑しい?」
そう言ってる黒木君だって、笑ってるじゃない。
「だって、」
だって。
「私をここに攫ってきたの、黒木君でしょ?」
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Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» 本当にこっちが感謝です(笑)更新したときには、是非読んでみてください* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» いやいやいや…!凛奈さんのコメントにどれだけ書く気を貰っているか…!正直に言うと、新しい作品を作ったときや更新したときに凛奈さんがコメントしてくれないかなぁ〜って思うことよくあります(笑)毎回毎回素敵な感想も頂いて…! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» 今、またなんとなく書きたいものが浮かんでいるので更新したときは是非読んでみてくださいね! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» ありがとうございます!この話は私が書く話の中でもすごく深いものといいますか…とりあえず上手く表現したいことが伝わるか不安だったんですが、そういってもらえて本当に嬉しいです!黒木は本当に泣けますよね(´;ω;`) (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - まみさん» 更新履歴まで見ててくださったんですね…(涙)更新遅くてごめんなさいOrz、こちらこそまた時間がありましたら読んでやって下さいね* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kobato* | 作成日時:2017年6月11日 19時