逃避行 02 ページ2
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潮の香りと、彼の甘い匂いが混ざり合って私の鼻を遊ぶ。
お腹に回った逞しい手のひらに、私はクスリと笑みを零した。
「危ないって……まだ幅あるから、大丈夫だよ。」
「そう？」
でも。程よい低音の声が、心地よく耳に流れ込んでくる。
私の何倍もある手のひらを遊ぶように、きゅっと握った。
「そのまま、飛んで行っちゃいそうな気がしたから。」
彼を纏うラヴェンダーの香りが、より一層強く鼻を掠めた。
嗚呼、綺麗だなって。漠然と、そうもう１回思った。
彼は誰よりも勘が鋭い。彼は誰よりも大人。彼は誰よりも気遣いが上手。
そんな年齢を超越している彼らしい言葉だと思う。
誰よりも、大人で。誰よりも、人の感情の流れを読むことに長けている。
「あのカモメみたいに？」
そして彼は、誰よりも孤独な人だった。
「そうだね。」
笑みを浮かべたのが、顔を見なくても分かった。
それくらいに、彼と付き合ってきた時間は長い。
ふと、目の前に広がる青に見覚えがあることに気づいた。
「ん、何？」
急に振り返った私を見る彼の瞳に、僅かに驚きが混じる。
涼しげな瞳。高い鼻。甘くカーブを描いた唇。
全部が、完璧に作られた顔だった。何人もの女の子を虜にする王子様の顔。
けれど。その端整な顔立ちを、彼がゴミ同然にしか扱わない孤独を、
私はもう感じとっていた。
彼の瞳はいつだって、悲しげだ。孤独に揺らめく瞳は、いつもどこか儚さを滲ませている。
「黒木君の目、」
綺麗。何度も何度も、心の中で思ってきた。恥ずかしいから、本人には絶対に言わないけど…。
蒼く澄んで見える目。何度も見てきたからかな。どこまでも続く海の青を見て、
ぼんやりと黒木君を思い出したの。
「海、みたいだね。」
嗚呼、こんなにも、彼の瞳は美しい。
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Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» 本当にこっちが感謝です（笑）更新したときには、是非読んでみてください＊ (2017年7月9日 16時) (
レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» いやいやいや…！凛奈さんのコメントにどれだけ書く気を貰っているか…！正直に言うと、新しい作品を作ったときや更新したときに凛奈さんがコメントしてくれないかなぁ〜って思うことよくあります（笑）毎回毎回素敵な感想も頂いて…！ (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» 今、またなんとなく書きたいものが浮かんでいるので更新したときは是非読んでみてくださいね！ (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» ありがとうございます！この話は私が書く話の中でもすごく深いものといいますか…とりあえず上手く表現したいことが伝わるか不安だったんですが、そういってもらえて本当に嬉しいです！黒木は本当に泣けますよね(´；ω；｀) (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - まみさん» 更新履歴まで見ててくださったんですね…（涙）更新遅くてごめんなさいＯｒｚ、こちらこそまた時間がありましたら読んでやって下さいね＊ (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kobato* | 作成日時：2017年6月11日 19時
