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愛することが罪ならば。02 ページ12




『いやっ!!私を置いていかないでっ……!!』


綺麗に整った顔を涙に濡らしながら、今、正に彼女に背を向けていこうとする男に縋る女。


『何で…っ、何で行ってしまうの?』


男の腕を掴んだ手は、力が込められているのか白くなって震えている。

なかなか迫真の演技だ。______あちらこちからから鼻をすする音が聞こえてくるのに反して、
俺は妙に冷めた意見を呟いていた。
俺の冷めた顔を映し出すように、画面は映画のクライマックスシーンに差し掛かっている。


『俺が、お前のことを愛してるから。』


優しく、手を払う男に周りでは一層鼻をすする音が多くなる。そして、俺の隣の席からも。
きっと映画が終わる頃には目を真っ赤にさせているんだろう。
想像が容易すぎて、場面に似合わない笑みが浮かぶ。


『だから、俺達は離れなきゃいけないんだ。』


そういって、完全に女に背を向けて歩き出す男。その場に崩れ落ちて顔を覆いながら涙を流す女。
恋愛映画には珍しい結末に、俺は男に置いていかれた女を静かに見つめた。
主題歌の甘いバラードが流れ、エンドルロールが始まる。
頭の中では、さっきの男の台詞が何故か木霊するかのように響いていた。


『俺がお前を愛しているから。』

『だから、俺達は離れなきゃいけないんだ。』


前の俺なら、きっと鼻で笑っていた。
何を馬鹿なこと言ってるんだ。愛しているなら、離れなければいい。
結局のところ、離してしまうなんて、本当に愛しているのかさえ疑わしい。
そんな風に、思っていた。思って、いた。けれど。


「黒木くん?」


横を見れば、思った通りに目を真っ赤にさせて、ついでに鼻も赤くしている彼女が
心配そうにこちらを見ていた。ふっと笑って、未だに潤む目元をなぞれば、
恥ずかしそうに視線をずらす。


「出ようか。アーヤの目、早く洗わないとね。」


もうっと拗ねたように立ち上がった彼女の手を引く。彼女の小さな手のひらを掴みながら、何故か。
さっきの男の台詞が、ゆっくりと身に沈んでいくのを、俺は感じていた。


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Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» 本当にこっちが感謝です(笑)更新したときには、是非読んでみてください* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - 凛奈さん» いやいやいや…!凛奈さんのコメントにどれだけ書く気を貰っているか…!正直に言うと、新しい作品を作ったときや更新したときに凛奈さんがコメントしてくれないかなぁ〜って思うことよくあります(笑)毎回毎回素敵な感想も頂いて…! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» 今、またなんとなく書きたいものが浮かんでいるので更新したときは是非読んでみてくださいね! (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - ?0704さん» ありがとうございます!この話は私が書く話の中でもすごく深いものといいますか…とりあえず上手く表現したいことが伝わるか不安だったんですが、そういってもらえて本当に嬉しいです!黒木は本当に泣けますよね(´;ω;`) (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)
Kobato*(プロフ) - まみさん» 更新履歴まで見ててくださったんですね…(涙)更新遅くてごめんなさいOrz、こちらこそまた時間がありましたら読んでやって下さいね* (2017年7月9日 16時) (レス) id: 1a71bdddc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Kobato* | 作成日時:2017年6月11日 19時

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