廿陸,ヨコハマギヤングスタアパラダヰス(後編) ページ26
志賀を中心に物語を進めているので、樋口さんや芥川さんの登場等は省かせて頂きます。
この場面が好きな方は、少なからずともいらっしゃると思いますが、今回はお見逃しください。
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賑わうヨコハマの街を、眠たそうに歩く。志賀にとっては、任務から戻る、何時もの道程である。
―――――――只一つの事を除けば、だが
自分がいる、この通りの何処かで、銃声や呻き声と云った、何時も賑やかで雑踏で溢れ返るヨコハマには不似合いな音が聞こえる
過去の或る事件から、血腥い事を酷く嫌う志賀にとっては、これを聞いて放っておく等不可能な事で
志賀は今も尚聞こえる微かな声を、人より幾分かは鋭い聴覚を頼りに、音の出処へと向かった
志賀「………多分此処」
そう云って止まったのは、他より少し広い、しかし他より明らかに暗い路地の手前だった
路地裏"だけ"の特徴を述べてしまえば、まあ、そんな場所、探せば幾らでも見付かる、と思うが、其処に広がる光景は、何処を探しても簡単に見付かることは無いだろう
なにせ其処には、大量に血を流し倒れている谷崎兄妹と、この路地裏に溶けるかの様に真っ黒な、それも、周囲には不気味なモノを携え立っている男、そしてその男に叫び乍突っ込んで行く中島の姿がある
??「玉砕か――詰らぬ」
男が呟いた途端、男の周囲を漂っていた黒い何かが、獣の形になり中島を目掛けて襲い掛かった
志賀「…………!?」
志賀が驚き、茫然と立っている内に、中島は黒獣を避け
??「!」
男の後ろに回り込み、落ちていた銃を取った
??「ほう」
男が感心して振り向きかけた瞬間
――――バタタタタタタ
中島は弾を放っていた
弾は総て男の背中に着弾した
中島「!?」
―――だが、男はそのまま振り向いた
男の足下では、カラン…と、弾が落ちる乾いた音がした
中島「そ、んな……何故…」
??「今の動きは中々良かった。しかし所詮は愚者の蛮勇、」
――――――「簡単な話です」
男が尚も言葉を紡ごうと口開くが、それを無視して志賀が乱入する
志賀「其の人の黒獣は悪食。凡るモノを喰らいます。仮令それが、『空間"そのもの"』であっても、ですよ。
銃弾が飛来し着弾するまでの空間を一部喰い削った。
槍も炎も、空間が途切れれば彼には届かない。
――――そうですよね、芥川さん」
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神楽かな(プロフ) - 面白いですね! (2017年12月12日 1時) (レス) id: 01b9535641 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - ルルさん» 有難う御座います。御礼が遅くなり、申し訳ありません。これからものんびりではありますが、頑張って書いていくので、どうか御愛顧下さい。 (2017年11月5日 17時) (レス) id: 6797fe50b8 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白かった!! (2017年10月17日 0時) (レス) id: 5f42220b54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無銘 | 作成日時:2017年5月5日 14時