探偵達はカフェにいる【オリジナル】 (ページ30)

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中国茶利き名人メイリーページ30

　メイリー・ファンタスマゴリさんは、ルヴトー・ファンタスマゴリさんの奥様。彼女は中国人で、林(リン)美丽(メイリー)というのが旧姓での名前だそうだ。ルヴトーさんとメイリーさんは幼馴染で、仲睦まじい夫婦だ。

　ロブカットの黒髪に、藍色の瞳が輝く大きな目。鼈甲の眼鏡がなんというか、メイリーさんの印象を和らげている。全体的に「奥さん」って感じの奥さんだ。私の語彙力どこいった？

　今日、彼女に来ていただいたのは他でもない。彼女は私の中国茶の先生なんだよね。やっぱり和洋中極めてこそのカフェだと思うんだよね。え？お前はどこを目指しどこに向かっているんだって？渋いカフェのマスターですが？？？

「じゃあAさん、まずは緑茶からね。日本茶の緑茶は蒸す方法が主流だけれど、中国の緑茶は釜炒りするのが主流なのよ。代表的なのは龍井茶(ロンジンちゃ)！」
「なるほど、釜炒りの道具を購入すれば良いのですね！」
「そこからか～～そこまでしなくても良いんじゃないかな？」

　あれ？もしかして道具を揃えるのは二の次なの？私結構道具を買いそろえるタイプなんだけれど。テンパリング道具とか、ロールアイス作るやつとか、綿あめマシーンとか買わないの？あれ？私がおかしいのこれ？？？

「あとメジャーなのは烏龍茶ね。ある程度発酵を進ませてから加熱処理を行うお茶！烏龍茶は最もポピュラーな中国茶じゃないかな？」
「烏龍茶美味しいですよね。発酵についても学ばなくちゃな……」
「その内ヨーグルトとか納豆とか作りそう」
「作っているんですよねぇこれが、既に」
「行動が早いのよ」

　ヨーグルトはフィザルモニカさんの、納豆は琴子さんのリクエスト──もとい注文で承った品が元。それまでは市販のもので済ませていたんだけれど、プロというものやっぱり自分で作ってこそだと思うのよね。だから最近手作りが増えたんだ。友人には「狂ってやがる」なんて言われたけれどね。気にしない気にしない。

「あとは花茶ね。代表的なのは茉莉花茶(モーリーフアチャー)……いわゆるジャスミン茶ね。ルヴトー君が好きなお茶！」
「ジャスミン茶ですか、それならハゴロモジャスミンを育ててそこから作っています！」
「つよい」
「ルヴトーさんに大変好評でした！」
「ふふ、ルヴトー君、このカフェの事嬉しそうに話してくれるのよ」
「本当ですか！嬉しいな～～」

　メイリーさんによる中国茶講座はまだまだ続くらしい。さあ、渋いマスター目指して頑張るぞ！