99話 姉と赦しと繋いだ手 ページ20
長い時間そうして泣きじゃくっていたけれど、その声はだんだん小さくなっていった。
僕も泣き疲れて、項垂れていた顔を上げる。
この人はまだ、床で咽び泣いていた。
「……A」
ゆっくり立ち上がると、隣から涼香が心配そうに見上げてくる。
彼女に「大丈夫」と呟いて、何度も深呼吸を繰り返した。
『……それから……あんたは今もまた、間違えている』
「……？」
顔を上げるこの人の顔は、涙でぐしゃぐしゃ。
せっかくの化粧が台無しだ。
『……母親の資格を、自分で勝手に捨てんなよ……それを決めるのはあんたじゃなくて、子供だろ』
「A……？」
そしてそれは、恐らく僕もだろう。
この人と僕は、きっと同じ顔をしている。
そりゃそうだよ。だって……。
『──あんたの母親の資格は、僕が決めることだろ……！！』
「！！」
僕は、どんなに世界が否定しようとも、僕自身がそれを拒もうとも、この人の＿＿だから。
『許す気なんて毛頭なかった……けど……。
お姉ちゃんはもうとっくに許してるんだ……あんたのこと……』
「！！ 雪……」
『お姉ちゃんは、心から反省し、罪を後悔している人を責めたりしない。僕には分かる。お姉ちゃんは、きっと十年前に、あなたを許してる……』
この人の目から、止まったはずの涙が溢れ出す。
『なら……僕も、許せるように努力したい。それがお姉ちゃんの望みなら……僕が、許さない訳にはいかないんだよ……』
「Aっ……！！」
『あなたのしたことは絶対に許せない……けれど、今のあなた自身なら、僕は許すことができるかも知れない……』
母さんがガラス窓に駆け寄り、その手を這わせる。
僕はそっと微笑んで、同じ位置に手を重ねた。
ガラス越しに伝わってくる温もり。
『……話そうよ、二十四年分……ううん。お姉ちゃんも含めて、三十年分……』
「ああ、A……A……！！」
これが僕の、僕の人生における解答だ。
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杳覇(プロフ) - 海道凛さん» あああああ鶯様でしたか！！ お久しぶりです〜！ 世界編最終章では暖かいお言葉本当にありがとうございましたm(_ _)m 憧れ…！ 自分には勿体ないお言葉です、ありがとうございます…！！ 応援嬉しいです！！ 実はてんみこも色々考えているのでお楽しみに…！ (2021年6月6日 23時) (
レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
海道凛(プロフ) - 杳覇さん» もったいないお言葉ありがとうございます。先程は長文失礼いたしました。以前は鶯としてコメントさせていただいたのですが、完結から２ヶ月ほどして漸く自分の言葉で表せたので、感想を送らせていただきました。杳覇様は当時から私の憧れです。陰ながら応援しています。 (2021年6月6日 23時) (レス) id: 63a783c275 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 海道凛さん» ぎゃああああマジですか！！ え、めっちゃ前からの読者様じゃないですかええええありがとうございます恐縮ですそんな素敵なお言葉を…！！ 他の作品まで！？ えええめっちゃ嬉しいですありがとうございます(´；ω；｀) (2021年6月6日 23時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
海道凛(プロフ) - まさか大人になった東雲ちゃんが読めるとは思ってもいなかったので、「大人になった天空の巫女」の通知で飛び上がりました。貴方様の作品が、東雲ちゃんが、とても好きでした。他の作品も面白いものばかりで、楽しんでいます。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年6月6日 22時) (レス) id: 63a783c275 (このIDを非表示/違反報告)
海道凛(プロフ) - はじめまして、とても時期外れではありますが、完結おめでとうございます。杳覇様がソラノ様だった頃に天空の巫女を知り、以来こっそりと拝読していました。少しずつ表紙絵が増えたり、更新通知が来るたびにいつも楽しみにさせていただいていました。 (2021年6月6日 22時) (レス) id: 63a783c275 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2021年1月30日 14時
