世界を駆ける天空の巫女 9

祝！380話 見破った ページ26

有人に届く前にユニコーンの選手にカットされ、ボールは再びローイングサンダーの中へ。


今度は僕が、一之瀬の足の動きに全神経を集中させる。





『────見えた!!飛鷹!!』



土方の跳ね返したボールは、指示通り飛鷹が押さえた。



『飛鷹、守に戻せ!!』

「「！」」

「なっ…！」



ローイングサンダーは不発。

思うように支配出来なくなったゲームボードに、一之瀬が目を剥く。





「────魔術のタネは見破ったぜ」

「！」



一之瀬が悔しげに振り向いた先にいるのは、不敵に笑う僕と明王。

そう、このタネは至って簡単。



『お前達はボールの跳ね返りを計算して蹴っていた。そこへ先回りすれば良いだけ』

「！そうか、蹴り方で跳ね返る位置を……」

「その通り。流石は鬼道クンだ」



にしても……。





ー数分前ー



「跳ね返りを計算した上で、指示を出すのは俺とAでやる」

『え？僕も？』



明王だけで充分じゃ……と続けると、明王はフンッとそっぽを向いた。



「俺も人間だ、一つのミスもないとは限らねえ。A、お前なら任せられる。……頼んだぜ」

『！……光栄だね』





ー現在ー



今もそうだけど、あの明王が人を褒めるなんてな……。

こいつもだいぶ丸くなったな。





「そして、この必殺タクティクスは────」


『────カウンターに弱い!!』

「円堂!!」

「おう!!」





僕達が言い放つと同時に、修也が駆け出した。

守も素早くパスを送る。



ユニコーンの選手が全攻撃体制になってる今がチャンスだ。





「行かせない!!ｯ!!あぁｯ!!」

『ｯ!!』



躓いたのか、はたまた病気が痛んだのか、一之瀬は激しく転ぶ。

諦めず立ち上がろうとする一之瀬だったが、苦しそうに呻いて膝をついた。



その姿に、思わず立ち止まる。





「ヒロト!!虎丸!!」

「「はい／おう!!」」

「「「グランドファイア!!!!」」」



僕らに構う事なく、放たれるシュート。



「フラッシュアッ──」



ﾋﾟﾋﾟｰ



GKに必殺技を出させる暇も与えず、ボールはゴールへと突き刺さった。

381話 優しい→←379話 巨人と小人

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