泡沫少女の泡沫ノ恋。―第弐章―【練紅覇】

第漆拾夜・『秘密兵器』 ページ29

「あははははははぁっ!!! 何ィ?もしかしてぇー前列全滅したからって

強気になっちゃってるぅ? いやぁーでもね?

俺らの軍隊はこれだけじゃないんでぇー････油断するなよ?」


体中に返り血がついている敵軍のくせっ毛で濃い茶色の髪の青年は恍惚とした表情で笑い、

不気味な微笑みで煌帝国軍を見る。

その瞬間、ガタガタガタガタという音が聞こえた。

地面が地震のようにぐらぐらと揺れる。


そして、次の瞬間に見えたのは

エナメルブラック色とエメラルドグリーン色、紫色の大きな戦車。


戦車たちは太陽の光に照らされ、眩しいほどにギラギラと輝いている。



「ほぉ〜らっ! まだまだあるんだよぉぉーーー!!!」



敵軍のくせっ毛で茶髪の青年がまた叫ぶ。

戦車は数え切れないほどに煌帝国軍の前に並んだ。


「それとねぇー･･･」


敵軍のくせっ毛で茶髪の青年がパチンと指を鳴らす。

するとどこからともなく、

沢山の水が湧いて出てくるように、

迷宮生物が凶暴化したようなおかしな生物が沢山出てきた。


「くくくっ･･･あははははははは!!! これが俺らの『秘密兵器』ちゃんたちでぇーっす!!

　ほらほらほらほらほらっ!!! お前らもあるんだろぉっ? 『秘密兵器』。

　さっさと見せろよ･･･!! 俺らはこんなにも本気だぜぇ?! ほらっ!さっさと出せよ!!」


敵軍のくせっ毛で茶髪の青年は煌帝国軍を挑発するような面持ちで狂い叫ぶ。

そんな青年の言葉を聞いた、煌帝国軍の先頭に戻った紅炎さんはゆっくりと言葉を口にした。


「･･････いいのか?

　煌帝国の『秘密兵器』を知ってしまって、後悔しても知らないぞ?」

「後悔ー? んなもんするわけねぇじゃん!! どうでもいいからさっさと出せよ!!」


敵軍のくせっ毛で茶髪の青年が急かす。


誰かが、私の背中を強く、



押した。




「煌帝国の『秘密兵器』、」



誰かが私の背中を押したため、敵軍の眼前に堂々と転がり出てしまった。

戻らないと、と足を動かすが――動かせなかった。


なぜなら、紅炎さんの次の言葉に驚愕したから。




「"エテルノ王国"第一皇女、A。」



「え･･･?」

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