無作法 ページ10
提督は剣を戻して言った。
「噂に違わぬ最悪の海賊だな。」
「でも噂は聞いてた。」
海賊に挑発されたことに怒った提督はジャックを乱暴に海兵に渡し、手錠を嵌めさせた。
「提督閣下どうかお願いです…！」
エリザベスが嘆願するが、提督は聞く耳を持たない。
私の顔から笑が消えた。海賊だからといって提督が本気で殺そうとするとは思わなかったからだ。
このままではこの海賊が可哀想だ。
「お待ち下さい。」
思わず手錠を嵌められている海賊を庇うようにして提督の前に立った。
「提督、私達を助けたが為にこのまま捕まってしまうのは海賊があまりにも不憫です。」
「だからといって根っからの悪党を見逃すなど許されることではありません。」
裸足で足の裏の痛みに耐えて歩いてきたのに提督は聞いてくれそうにない。
「吊るし首なら許される？」
本当に吊るし首になるかもしれないというのに海賊本人はまだふざけた口調だ。
「その通りだ。」
「それじゃ。」
海賊は後から私の首に手錠をまわした。
「ヴィクトリア！」
エリザベスが心配そうな声を上げ、
「そんな…駄目だ！撃つな！！」
総督はおろおろとし、提督も狼狽えている。
「段取り良くありがと。」
海賊が私の耳元で囁いた。
首元にはひやりとした鉄の感触があったが私は微塵も怒ってなどいなかった。
だが、私を人質にしたやり方は強引すぎる。
「俺の財産を返して貰おうか。…提督！」
渋る提督を急かしてスパロウは所持品を返してもらうと、両手が使えないため、私に道具を付けてもらおうとしている。
「ヴィクトリア…だったよね？」
「あなたはMs.シャネルと呼んでください。」
「Ms.シャネルそれ取って。」
スパロウが顎で自分の所持品を指すと私は提督から先程の帽子や、コンパスなどを受け取り、スパロウが元々付けていた場所に身につけさせた。
「蒙昧な海賊ね。」
「あんた助けたんだからこれでおあいこだ。」
スパロウが私を提督の方へ軽く押して解放した後、海兵とスパロウが大胆な逃走劇を繰り広げる中、提督が話しかけてきた。
「あまり無茶はしないでください。」
先程、スパロウに押されたせいで急激に距離が近くなったためか声に多少の動揺が感じとれる。
「ええ。先程は出過ぎた真似をしました。以後、気をつけます。」
うやうやしくそういうと提督は少し安心しているようだった。
その後海賊は海軍に追われながらも街に逃げ込んだらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Caesar(プロフ) - ティコ。さん» 返信遅れて本当にすみません！！m(_ _)m面白いという御言葉すっごくありがたいです！！ありがとうございます！！！更新頑張りますね！ (2018年3月1日 19時) (
レス) id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
ティコ。(プロフ) - めっちゃ面白いです！！更新頑張ってください！あと、1つ質問なのですが、名前は固定ですか？ (2018年2月28日 12時) (レス) id: e878cfb355 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» 追記:本当にありがとうございます！ (2017年8月7日 21時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
ダージリン(プロフ) - むらなかさん» あれ見たらファンになっちゃいますよね！その気持ち凄く共感できます！！ (2017年8月7日 19時) (レス) id: 85ba8e2866 (このIDを非表示/違反報告)
むらなか(プロフ) - 私もパイレーツファンでいつも楽しく読ませていただいてます。更新楽しみにしてます！笑笑 (2017年8月7日 17時) (レス) id: ce8b8b5d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ダージリン x他1人 | 作成日時：2017年7月1日 15時
