検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:16,073 hit

28 ページ28

それからいくつか品を売り飛ばした後、ついに私の番が回ってきてしまった。

「この女性は16歳。平民ではありましたが、顔立ちやスタイルも整っていて若いので、使い道は多様です。それでは10万からいきましょう」

次々に値段が釣り上げられる。私にそんな価値などあるのだろうか。


「300万」

誰か低い声でそう言えば、静かになる会場。私はその声の出所を見た。

余裕ぶっこいたような目と座り方。ジャケットはボタンを止めるにはキツかったのか、外されている。

…嫌だ。

直感的にそう思った。

「それでh「350万」」



不意に聞こえた、聞きなれた声。

けれど、数日間聞かないだけでとても懐かしかった。

唐突に溢れる涙。

「くっ…430万!」

「500万」

落ち着いたその声。

男の人も諦めたのか、誰も声を発しなかった。



「それでは500万円で落札です。」

落札した方は引き取りにきてください、と言えばスーツを身に纏った「彼」が壇上に登ってきた。

腕と手首、そしてお腹を縛られていた縄がほどかれ、床に足をつけた私は彼の目を見つめた。視界が歪む。

「っか、なた…!」

「遅くなってごめん、行くよ」


彼方は私の肩を抱きながら会場を後にする。

会場を出る間際、私は後ろを振り替えって飛鳥さんを見た。

目が合い、ウインクをされた。

それがどんな意味かもしらずに。

29→←27



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , そらる
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月見だんご | 作成日時:2018年3月31日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。