白昼夢 ページ3
ザワザワと集まってくる人々。
残暑とは思えない程の暑い日差し。
耳障りな蝉の鳴き声。
赤く染まった初兎のシャツ。
徐々に追い付いてくる思考。
「な、ぁ...。」
蚊の鳴くような声でそう発する初兎。
初兎、そう呼ぼうとすると、私の声を遮るかのように初兎が言った。
「...＿＿＿＿。」
そう言った後、少し微笑んで初兎は動かなくなった。
初兎は私に何かを伝えようとしていた。
でも上手く聞き取れなかった。
辺りに響くサイレンの音。
救急車へと運ばれていく初兎。
まだ鳴いている蝉。
変わらず真っ赤な地面。
涙は出なかった。いや、出せる余裕がなかった。
放心状態で道路に立ち尽くす私に、警察官の人が声をかけてきた。
「君はあの男の子とどういった関係だったのかな？」
『.....親友、だったんです。』
私は唇を噛み締めてそう答えた。
そうしないと、堪えているものが全て溢れ出そうだったから
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
それから流れるように事情聴取が進んだ。
家に帰り、暫くすると初兎のお母さんから電話があった。
初兎はあの後病院で亡くなったらしい。
初兎が、死んだ。
その事実と、初兎が最期に伝えようとした言葉が頭の中をループする。
未だに白昼夢を見ている気がする。
思い出せば、私の記憶の中には全て初兎がいた。
絶対に何処にも行かへんから。そう約束した直後だった。
直前まで一緒に話して、笑って。アイスも食べた。
なんだか全てがどうでもいい。
きっと、これは悪い夢。
明日の朝、いつも通り初兎が自転車で迎えに来てくれる。
そう信じてた。
だけど、一晩寝て、朝起きても、いつものように私を呼ぶ声は聞こえなかった。
独りで学校に向かう。初兎のいない通学路はなんだか物寂しく感じた。
机に鞄を降ろす。でも隣の席には初兎の姿はない。
初兎の代わりにスイートピーの花が入った花瓶が置かれていた。
何事もなかったかのように授業が始まって、二人組を作れと言われた。
『初兎、一緒に...。』
言いかけたところで気が付いた。
そっか。初兎はもういないんだ。
結局、１人残って、先生とペアでやる羽目になった。
授業も終わり、生徒達が部活に励んでいる放課後。
私は独り屋上に来ていた。
初兎がいないんだったら、私も死んでしまえばいい。
そう思って、屋上のフェンスをひょいと越えた。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
