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ペルソナでの思い出 ページ5

「きじまぁ〜!」

「んぉ?」

鬼嶋は冬場でもアイスを食べてる。
救命の加瀬先生と同じようなやつ。
いつも食べてるのはカップに入ってて少しだけ高いやつ。

でも今度鬼嶋が行く隠久ノ島病院には売ってないらしい。

「はい。高いアイス三個もあげる。
だから今日は当直変わって?」

「...ライブがあるならそう言えば良いじゃんか。」

「えっ?!」

彼女にはなんでもお見通しだ。
僕がBABYであることも、孤児で施設育ちだということも。

「いいよ。アイス代も返す。」

そう言って840円きっかりを僕の掌に握り込ませて、木のスプーンを咥えたまま医局を颯爽と出ていく。

そのふらふらとした生き様や不安定な思考に追いつけないけど、なんとなくかっこいい奴だとは思ってる。


「…くぅ〜ッ。やっぱりかっこいいなAは」

「うぉわ...加瀬さん...ここ産科ですよ、どうしたんですか?」

「おう、今日も救命にAをスカウトしに来たんだけどよ。」

そう言ってドカッとソファに座った加瀬先生。

救命で大忙しなはずの加瀬先生は今日はどうやら暇があるみたいでそんなことを言い出した。

加瀬先生や今橋先生曰く鬼嶋は救命でもNICUでも重宝されるほどいい人材だったらしい。

新米期間が終わってすぐに救命に誘われるのだから尚更。

「鬼嶋はやっぱり総合医療を取るみたいですよ。」

「総合?ここに総合医師はないぞ?」

「島に戻るみたいです。今月いっぱいで。」

「ハァ?」

たしかにここの方が医療器具や人員、分野的にやりやすいところがあるかもしれない。

しかし鬼嶋は断固として自身の生まれ故郷である隠久ノ島に戻る選択を諦めなかった。

「島のお医者さんになるのが彼女の夢なんですって。」

「そりゃいい夢だな。」


______________________________

鬼嶋がペルソナからいなくなって二年が経った。

随分と長いことペルソナで働いたから、もうベテランの域に達しているはずなのに彼女は決して自分のことをベテランだとかは言わなかった。

ましてやまだ自分のことを新米だとか思っていた。

「何々〜。Aちゃんのこと考えてたの〜?」


そう言ってどついて来るのは助産師の小松さん。

僕が当直のアルバイトをしていた時からの知り合いで、僕と四宮と鬼嶋をよく知っている人でもある。

そんなこの人はよく僕を茶化して来る。

「何々〜、写真?見せてよ。」

「ただの海の写真ですよ。」

「まぁ、綺麗〜!私も見たいわー」

ペルソナで数年→←隠久ノ島二年目の夏



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作者名:長官 | 作成日時:2020年5月3日 17時

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