島の部屋は見つからない ページ24
「姉ちゃん部屋とった?」
「取ってないよ」
「マジで言ってる?
私の部屋に住もうとしてる?」
「産科医の家なら安心かなぁって。
わざわざホテルとかウィークリーとか取らなくても。」
「私前のアパート火事で今ウィークリーなんだけど」
姉がお土産を持って久々に医局にお邪魔させてもらうとか言ったので、私も嫌々見飽きた医局に入った。
やはり中堅以上の先生たちは姉に見覚えがある様で、嬉しそうに挨拶をしている。
「まぁいいや。延長すればいいだけだし。」
「悪いね。」
「いいよ。別に。」
夜。
姉の体調を考えて塩分や糖分などのバランスを考えた食事を出すと、姉は嬉しそうに美味しいと言って食べてくれた。
妊婦の世話をするのは慣れた物だけど、
妊婦と生活するのはどんな物なのか。いい経験になりそうだ。
____________________________
鬼嶋の姉が挨拶に来てから二週間が経った。
早番として出勤し、あくびを一つ。
「院長、おはようございます。」
「おはよう、」
ぼーっとコーヒーを飲んで午前の業務に備える時間帯。かなり早い時間から看護師たちは忙しそうに歩き回っている。
「この時間が一番忙しいですからねー。」
「まぁ、そうだな。」
よし、と腰を浮かして立ち上がる。
途端、遠くで携帯が鳴った。
こんな早い時間に誰から来るのか。なんて気にせずそっと携帯を手にすると、耳に当てた。
「もしもし、どうし__」
『が...姉が...』
「どうした?」
『姉が!』
「だからどうしたって__」
「早剥の疑いです!出血が見られ、ショックを起こしてます!朝から補聴器が壊れて今聞こえません!
どうしよう...助けて......お願い...お願い伝わって...」
66人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:長官 | 作成日時:2020年5月3日 17時