リアル*2 ページ3
「ハァ…ハァ……」
ズルズルと鍵をかけた扉を背に、床に落ちた。
ビショビショのワイシャツが張り付いて気持ちが悪い。
「大丈夫か…?桐谷…。」
隣の彼女に声をかければ、うなだれていた顔を上げて、苦しげにニッコリと微笑んだ。
その笑顔が、とてもじゃないけど見ていられなかった。
「……少し休んでろ…。」
彼女の頭を軽く撫でて、立ち上がった。
そのとき、不意に自分の視界の中で同時に動いたものがあった。
視線だけ左上に動かせば、緑色のアイコンが6つとその下に緑色の細いゲージがあった。
細いゲージは真ん中あたりから、徐々に回復している。
「これって…。」
彼女のほうを見れば、彼女の頭上にも同じアイコンとゲージがあった。
彼女のゲージは三分の二ぐらい減っていて、少しずつ回復していた。
多分、体力ゲージとライフポイントだろう。
「……これ、やっぱゲームなんだな。」
俺たちが入ったのは、駐車場にあった狭い部屋。
たぶん、監視室のようなところ。
部屋には机と、大きな箱のようなものと2つのロッカー。
その棚を調べながら彼女に話しかければ、
体力が回復してきたらしく顔を上げた。
「…でも、ゲームじゃないみたいです…。リアルすぎて……。」
「…ほんとだな…。でも、ちゃんと体力ゲージとライフポイントはあるみたいだぜ?」
「…え?……あ、ほんとだ……先輩のもちゃんと表示されてます……。」
そこまでいうと、彼女がゆっくりたちあがり、自分のアイコンとゲージを確認した。
「…これは、回復薬か……?」
棚を調べていると、“First aid spray“とかかれたスプレーが1つあった。
いわゆる、救急スプレーだと思う。
「持ち物を入れるのが必要ですよね……あと、武器と……。」
「そうだな……。つーか、説明書みてーなのはねぇのかよ……。」
そういいながら、救急スプレーを制服の後ろポケットに入れた。
そもそもこのゲームの遊び方つーか生き延び方を知らないし、俺たちの目的もわからない。
普通、説明書とかはつきものだと思うんだが‥。
「……?本が入ってます。」
彼女が開けた大きな箱の中から、赤い本を取り出した。
表紙にかかれていたのは……
「Player manual…?説明書か!!」
彼女が開いたのをのぞき込むようにして、内容を見た。
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作者名:ベイ | 作成日時:2017年3月28日 19時