最近、俺の幼馴染みが冷たい【赤司征十郎】

009*静かに織り込んだ心 ページ11

「さっきぶりだね、困り事でも？」
｢…見てわかんない？！｣





部活帰りなのか玄関に座り込む私を怪しそうに眺める、私の幼馴染み、赤司征十郎





彼は成績優秀 眉目秀麗
まさしく凡人の私とホントに幼馴染みか？ってくらい勉強も運動もできるしなにしろモテる






そんな赤司が、私にこんなふうに今でも構ってくれる
周りの女子からしてみれば羨望の眼差しを向けられるところだけど、私としてはなんともむず痒くて恥ずかしい。








そんな赤司のことだ、私のことも直接お母さんから聞いていて私がなぜこんなにも絶望しているのかも知っているはずだ。



「さぁ？見る限り困っていることしか俺にはわからないね」





こうやって、私から話題をふっかけて話しかけてくることを望んでる。







「人が困ってるのににやけてる…超性格わっるいわー」
「相変わらず口が悪いね」
「うーるさいッ！ほっといてってば！」
「聞いてるよ、Aのお母さんたち、夫婦旅行だってね？」

「お前知ってんジャン！」






見下すように私に笑う赤司
こいつ、思ったより性格悪いんだよ。
そしてこうやって、私を見下すように微笑みかけるところがほんとにいい顔してる



心臓がドキっとするのは、たぶんこの笑顔を向けられてイライラしてるからだと思う。







「どうするんだ野宿？こんな寒い中で？」
流石に五月すぎは寒いぞ、なんてクスクスと。


微笑みを零す彼は、学校での完璧主義な姿からかけ離れていつまでも幼い頃からの幼馴染みのままだ。






くやしい………。








今まで冷たくしてた幼馴染みと一週間生活しろと。









「いえに、おじゃさせてクダサイ…」

目を、できるだけ逸らしながら、
そうお願いすれば望んだ本人がへぇ、とでも言いたげに目を見開いた。




顔から火が出そうだ。いつから刺を含んだ言葉以外を赤司に、向けたのだろう。


のらりくらりと私の刺を含んだ言葉をかわす赤司も、なんだか懐かしい顔をしていた
「しょうがないから、おいで」

偉そうに呟かれたその言葉に、なぜか立ち上がる足が軽くなった気がした。






【静かに織り込んだ心】

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