【東京喰種】君を守りたい。「金木研」 Ⅱ (ページ16)

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悲劇60話ページ16

Aside

あれからのことは、よく覚えていない。

ただ、今もリョーコさんのあの温もりの笑顔が、頭にこびりついて離れない。

どうして、あんなふうに死ねたのだろうか。

リョーコさんはなんと言いかけたのか、

そんな思考がぐるぐる回る。

今は、あんていくのスタッフルームで、全員。ヒナミちゃんを除くが

トーカちゃんを待っている。

あたりには、ズッシリとした空気が漂っていた。

ｶﾞﾁｬ…。

トーカちゃんは、少し驚いたような顔をして

「あの…、なんかあったんですか…？？」

「リョーコさんが、喰種捜査官によって命を奪われた。」

その言葉と同時に涙があふれだす。

やはり何もできなかった私だ。

守ることができなかった。

トーカちゃんは目を見開き壁をグーで殴った。

「顔は…、顔は見られたんですか！？」

「あぁ…。」

「なにそれ、最悪じゃないですか。」

〝最悪〟その言葉に心がズキンと痛んだ。

「顔は、顔は見られたんですかッッ！？」

トーカちゃんが声を張り上げるのも、無理もない。

そう思った。

「ヒナミちゃんは時期が来たら24区に移そうと思っている。」

「冗談でしょッ…。あのクソ溜めに…ヒナミ一人で生きていけるはずないじゃん！！」

「トーカちゃん…。」

「鳩を殺せばいいじゃないですか！！一人残らず！！四方さんだっているんだし…！」

「トーカちゃん…、無理だよ、たとえ、ヒナミちゃんたちを狙った捜査官を殺しても

また次の、次の次の、捜査官がでてくる。なかなか駆逐ができない場合、もっと最悪な状況になるかもしれないんだよ？…」

「うるせぇ！！！！喰種の世界なんて知りもしない！半端な奴に何ができるっていうんだよ！！！」

「それはっ…」

「トーカ、やめておけ。」

「でもッッ！！！」

「Aちゃんの言うとおりだ。彼らに手を出してはいけない。
みんなの安全のためには、それが最善なんだよ。」

選択しなくてはならないことなんだ。

偉そうなことなんて言えない。

だけどこれが、今の私たちにとっての最善なんだ。…