弐拾弐 ページ22
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ひとつの民家にたどり着いた。
いつか不死川家の子供たちと一緒に遊んだ、あの家だ。
『はぁッ、はっ、はっ…(この匂い……っ…血か…)』
こんなに息が切れるのは久しぶりだ。
血の匂いが口から入って、どうしようもなく泣きたくなってしまう。
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門をくぐる。
いつかあの大男に荒らされた時とは比にならないほど、家の中はぐちゃぐちゃだった。
『ッは、はっ……はっ……あぁ……
ことちゃん…弘くん、貞子ちゃん…』
まだ暖かい。
__だが、生きる人には無い冷たさだ。
『……いたいのいたいの、とんでこい』
……誰にも効かない。
死人には効かないんだ、この術は。
『………ごめん、ごめんね………』
…お母様は、一人残らず殺してしまったのか。
『………ぁっ…!実弥は…!?』
まずい。あと数分もせずに日が昇る。
母と知らずにきっと今も彼は追い回してる。
探さないとッ…!!
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_______
実弥side
…散り散りに消えていく血だらけの母を、弟が泣き叫びながら抱きしめている。
玄「…なんでだよ!なんでだよ!!
なんで母ちゃんを殺したんだよ!!!うわあああ!
人殺し!人殺し!!!」
実「………………」
弟妹たちを一度に亡くし、玄弥が混乱していることはわかっていた。
こんなことを言われても、玄弥は何も悪くないと、わかっていた。
『……そんなっ…』
いつか、聞いた声。
耳に残る鈴を転がすような声。
実「……なんでここにいんだよ…」
忘れもしない狐の面。
実「なんでお前がここにいんだよ!!どっか行けよッ!!」
俺の言葉に、僅かに怯んだ。
胸が少しだけ痛む。
彼女はゆっくりと俺に近づき、俺の頭を抱えるように抱きしめた。
……泣いていた。
なんでお前が泣いてんだ。俺でさえ泣いてないってのに。
『……っ…一度家に寄った。
まずは、あの子たちを埋葬してあげよう』
Aは、俺と玄弥の手を引いて歩き出した。
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Kさん - なんかこの作品のおかげで小芭内のこと好きになったわ.....この作品好きぃぃ!! (6月14日 20時) (レス) @page36 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (2022年11月5日 11時) (レス) @page14 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
カド松(プロフ) - 彼女、気づいたら痣だらけになってそう (2020年11月14日 19時) (レス) id: 8d052b9284 (このIDを非表示/違反報告)
咲拉(プロフ) - お返事ありがとございます!M2様の文は個性豊かで面白い所も皆様に刺さるポイントだと思っています。これからもM2様らしいコミカルさも折り込まれた作風を楽しみにしています!真摯に対応して頂いてありがとございました。今も大変かと思いますが、体調気を付けて下さい。 (2020年4月21日 13時) (レス) id: 94dbf7702a (このIDを非表示/違反報告)
M2(プロフ) - 咲拉さん» 読み返してみると結構拙い文が多いですね…申し訳ないです。今度リメイクしてみようと思います!有難く参考にさせていただきますね! (2020年4月21日 0時) (レス) id: ca371dd3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M2 | 作成日時:2020年1月11日 13時