。空回り ページ8
分かってはいた。
自然に出来る青いバラなんて無いことは。
でも、本当にあったら凄くロマンチックだし、世界的発見でもある。
それをプレゼント出来るなんて、
私も嬉しいし、カラ松も絶対喜んでくれると思う。
そう思ってからの私の行動は早かった。
仕事は長期の休みを貰い、バイトを掛け持ち。
日本を旅するお金を稼いでいた。
やっとのことで、1か月前に日本を巡り始めたかな。
やっぱり、青じゃない他の色のバラなら
沢山あったけど、青は1本たりともなかった。
それでも必死に探した。
バラ園、植物園、花屋さん。
探している時にカラ松から連絡がきたけれども、
どうしても早く見つけてプレゼントしたくて全て断っていた。
そんな傲慢な気持ちが仇となったのだろう。
家で悩んでいる時にカラ松が来たのだ。
何かなと思っていると、いきなり
｢俺は重荷か……？｣
と、辛そうな顔で尋ねてきた。
そんな顔をした彼は、一度も見たことがなくて
言葉が出なかった。
否定したかったのに、喉からでるのは乾いた空気だけで。
黙っていると、衝撃な事が彼の口から発せられた。
｢…別れ話をしに来たんだ。｣
ああ、ヤバい。
まずい。どうしよう。
私が人生で出会った中で、最も優しい人を怒らせてしまった。
別れるなんて言わないで。
そう言いたかった。
けど、私が彼に縋る権利はあるのか？
彼が別れたいって言うんだから、
別れるのが正解なのではないのか。
無言の私を見て肯定したと判断したのか帰ってしまった。
近くて遠いような難しい距離にある、
その背中に声を掛けることは、臆病者の私には出来なかった。
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作者名：イチゴミルクティ。 | 作成日時：2021年1月13日 21時
