愛が9つ目 ページ10
＊
私は携帯を手に取り、天祥院英智に電話をかける。
2コール目で出た天祥院は少し声が弾んでいた。
…大方、私を潰すのが楽しみで楽しみで仕方ないんだろう。
そんなことを思いながら、この男にも、あるお願いをした。
少し驚いていたが、快く承諾してくれた。
……これで心残りはない。
あとは明日を迎えるだけ。
そう思いながら、目を閉じ、意識を手放した。
ーLIVE会場(当日)ー
ー夢主sideー
久しぶりのステージ。
舞台袖に行く前に、Knightsのみんなに会う。
昨日、司くん、凛月くん、嵐ちゃんと話してすっごく仲が良くなって。
そしてレオから聞いた泉の事を、電話で泉に聞いてみたら、しっかりとした説明、謝罪と、もう1回、私と友達になりたい、そう言ってくれた。
私はもちろん、快く承諾した。
当たり前だ。
泉の事は友達として、ほんとに大好きだったんだから。
そんなこんなで、Knightsとは深い繋がりになった。
…多分、司くんも、凛月くんも、嵐ちゃんも、泉も、レオも。
心の中にはなにか暗いものを抱えてる。
暗いものを抱えてる私だから分かる。
でも、だけど、今日だけでも、私の歌を聴いて、その苦しみから解き放たれて欲しい。
そう思いながら、笑顔で凛月くん以外のKnightsに手を振り、凛月くんと共に舞台袖に行った。
え？なんで凛月くんとだって？
それは、ね、
今日は、ピアノだけで歌う、歌い方だから。
要するにピアノを軸とした曲ってこと。
先行はfineがやるらしく、今、目の前で輝いている。
あぁ、今日で私のアイドル人生は終わるのかなぁ、
そんなふうにしんみりしていると、凛月くんが、
朔「そんなに暗い顔しないの。ほら、アイドルなんだから、笑って笑って。」
そういって慰めてくれた。
なんだろう。人に慰められると、本当に元気が出てくる。
思わず笑ってしまって、凛月くんに背中を軽く叩かれる。
「ごめんね、ありがとう！」
そう言うと、凛月くんは満足そうな、満面の笑みな顔で頷いてくれた。
あぁ、もう私たちの番だ。
「よし。行くよ、凛月くん」
そう言い、ステージへと歩みを進めた。
＊
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作者名：碧海 | 作成日時：2020年5月17日 11時
