ずっと傍に居るから。 ページ7
※凛月視点。
Aがま〜くんを好きだって気づいたのは、夢ノ咲に入ってすぐだった。
本来、一歳年上の俺は2人より先に夢ノ咲に入学し、色々バタバタしていた。
中学三年の2人は、受験に追われていて少し2人と会えない期間が続き、それに耐えられなくなった俺は受験勉強で図書館に集まっている2人の元へ行ったのだ。
久しぶりに大好きな2人に会える。
Aもま〜くんも俺に会えなくて寂しかっただろうなぁ。会ったら抱きしめてあげよ。なんて、考えながら2人がいる席を探す。
そんな時、ふと視界の端に写った見覚えの姿にやっと見つけたとそちらを向いた瞬間 ー
『真緒。ねぇ、起きて』
窓辺の席に2人仲良く並んで腰かける幼馴染みたちの背中がやけに遠く感じる。
うとうと机に頬杖をつき、眠り船を漕いでいるま〜くんを横から優しく揺り起こそうとしているAの表情は優しい。
差し込む夕暮れのオレンジの光が2人を照らしている。
そこには俺なんか居ないみたいに2人だけを照らしていた。
俺の元にはあと僅かで光は届かない。すぐ横の本棚の影が刺していて、まるで光の下で生きている2人と夜の暗闇の中で生きている俺とを表しているようで胸が痛んだ。
『ほら、真緒ってば。また面倒事請け負って忙しいのは分かるけど、勉強しなきゃ』
｢ん、悪い。あと、10分だけ……｣
『……もう』
恋人を通り越して、家族みたいなやりとり。
幼馴染みだし、なんてことないことなのかもしれない。
でも、違う。だって、幼馴染みである前に、Aは女の子で、ま〜くんは男だ。
Aの表情が、仕方なさそうに呆れたように笑うその顔に、甘さが滲んでいるのを見て俺は察してしまったんだ。
……あぁ。Aはま〜くんのことが恋愛的な意味で好きなんだって。
俺が離れている間に、2人には何かがあってAはま〜くんのことが好きになったんだろう。
だって、そうじゃなきゃAはそんな顔しない。
そんな、恋してる甘い顔を見せたりしない。
｢A｣
『っ……！凛月』
背後に近寄って名前を呼べばAは一瞬俺を見て驚いた後、人差し指を口元に添えた。
『真緒起きちゃうから静かにね』
そう言って優しく笑うAを思わず抱きしめた。
……ま〜くんじゃなくて俺を見てよ。
俺のことだけ……。
『凛月？何かあったの…？』
｢……ううん。久しぶりに会えて嬉しくなっただけ｣
こんなことになるなら、もう二度と傍を離れたりなんかしないから。
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安城(プロフ) - 恋乃さん» コメントありがとうございます！無理のない範囲で更新頑張りますので、またお暇な時にでも読みに来てやってくださると嬉しいですー！ (2021年3月27日 19時) (
レス) id: 6990b31a24 (このIDを非表示/違反報告)
恋乃 - この作品物凄く好きです凛月がどうやって付き合うのか気になります無理せずに頑張って下さい応援しています (2021年3月26日 23時) (レス) id: 0410a23887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安城 | 作成日時：2021年3月23日 19時
