三話 ページ3
人除け呪文を施したままでも良かったが、流石に一年生が人除け呪文を使えると露見するのは避けるべきだと判断し、暫くホグワーツでどう行動するかを考え、自分の経験と流れる魔力を最大限活用しようと決めた後、呪文を解除する。
『クィディッチ今昔』を読もうかとも思ったが、何となく外に目をやれば鮮やかな緑が見え、ホグワーツ特急から見る景色が懐かしくて、本を膝の上に乗せたまま外の景色を楽しむ事にした。
時折コンパートメントの外で足を止める人は居るが、入って来る気配はない。一年生にして占領してしまうのは少々気が引けたが、思ったより快適だ。でも皆不思議だ。足を止めて少しの間動かないのに、何故かこのコンパートメントに入るには至らない。遠慮しているのだろうか。ブラック家の先祖返りと言われる程に濃く魔力を受け継いでいるのなら仕方ない事か。
成長するにつれ私の容姿に近付いているのは自覚している。私の記憶のせいなのか、血を濃く受け継いだからこそ私の記憶がすんなり受け入れられたのか、それは未だに分からない。
それにしても、私の時は親友が居たからコンパートメントに一人という経験はないが、家格の違いからか、挨拶のみで退室してしまうから共に過ごす人は少なかったように思う。どうしたって家格というのは付き纏うのだ。
憂い気に溜息を吐いてみれば、外で小さな悲鳴が聞こえた。何かと見やれば顔を赤くした女子生徒が慌てて駆けて行くのが見えた。それを見送り、また窓の外へ意識をやる。その少し後に誰かが足を止めると、初めてノックされた為少し驚いて瞠目する。入口に目を向け「どうぞ」と返す。「失礼」という声と共に開いた扉の前に立っていたのは、ルシウス先輩のミニマム。思わず呆けてしまうが、彼が訝しげな視線を投げ掛けてきた為、慌てて咳払いで誤魔化して「初めまして」と告げる。
「初めまして。君、新入生だろ？一人でコンパートメントを占領とは良いご身分だね」
「えっと…やっぱり一人で使うのはおかしいんですね？良かったぁ、足は止めても誰も入って来ないのでとても寂しかったんです。あ、申し遅れました。僕はライアン・バートン。ライアンと呼んで下さい。君は…その美しいプラチナブロンドで分かりますね。マルフォイのご子息でしょう？」
「いかにも。僕はマルフォイ。ドラコ・マルフォイだ。ドラコで良い。宜しく」
気取った自己紹介に、どこまでも先輩に似ているなぁと思いながら僕は彼の差し出した手を取った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
巫咫刄(プロフ) - うわー続きが気になるやつやん。これからが面白くなるやつやん｡お早い更新お待ちしております！ (2023年1月15日 15時) (
レス) @page13 id: f01b4a7cd8 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の薔薇(プロフ) - 最っ高！！続きを楽しみに待ってます！！！ (2022年2月3日 13時) (レス) @page11 id: 462d698004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
