【奇人の思案】 ページ11
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「あれ?朔間くん、また海外に行くの?」
英智との会話を終えた帰り道、Aは昇降口を出たところで漆黒の長髪の後ろ姿を見つけた。零だ。彼は海外用サイズの大きなスーツケースを引いている。
夕日を背に零が振り向いた。Aとはそれほど親しい仲でもないが、たまに話をする程度の知り合いである。
「ああ、今度はイギリスだな。また姉妹校でトラブルが起きたらしい」
「最近多いね?」
Aは不思議に思う。世界のあちこちに夢ノ咲学院の姉妹校があるのだが、どうも最近はそちらでトラブルが頻発しているようだ。
留学先で知り合った人たちに助けを求められているらしく、零は世界中を転々としている。
「まぁな。Aは休学するんだって?」
「うん、仕事が忙しくなってきちゃって。期間は決めてないけどね」
零とAは同時に夢ノ咲学院を離れるというわけだ。一見2人の理由に関係はなさそうだが、零はどこか違和感を感じた。
「なぁ、おかしいと思わね〜か?」
「何が?」
零がAの耳元に近づく。周りを警戒してのことなのだろうけれど、英智に見られたら大変なので、かえって心配する羽目になった。
「 『五奇人』とか呼ばれてる連中のお頭である俺と、女子アイドルの中じゃトップのAが、同じような時期にいなくなるんだと」
「それに何か問題でもあるの?」
「……何も不審に思わないならそれでいい」
零は意味深とも取れる発言を残し、Aから離れた。
不審も何も、零とAが不在になる理由は明確だ。その多忙が誰かによって仕組まれているとでも言うのだろうか。
少し考えたのち、Aはその考えを振り払った。仕事が忙しいのはAのグループが世間に求められているからのはずだ。
誰かの根回しだとは考えられないし、そもそもAを夢ノ咲学院から遠ざける理由が見当たらない。
腑に落ちないAの思考を途切れさせるように、零の表情は一転してニヤっと笑みを浮かべた。
「そういや、彼氏とは上手くやってんのか?おまえ、ああいう男がタイプだったんだな」
「仲良くやってるけど、タイプっていうか………」
別にタイプだったから付き合っている訳ではない。容姿や性格が似ていようと、英智でなければ意味がないのだから。
と思ったが、正直に言えば十中八九からかわれそうなのでやめにした。
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天羽モモ(プロフ) - 面白かったです (2024年10月17日 23時) (
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wx667p9bc7(プロフ) - 続き気になる〜 楽しみ (2024年1月16日 20時) (
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トド(プロフ) - ゆさん» 大変お待たせいたしました!これから更新進めていきますのでお楽しみに! (2023年10月15日 23時) (
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ゆ(プロフ) - とても続きが気になります!余裕がある時に執筆いただけたら嬉しいです՞⸝⸝> ̫ <⸝⸝՞ (2023年10月8日 23時) (
レス) @page1 id: 11ae07be49 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - アテネさん» ありがとうございます!前作が完結したらバリバリ進めていきたいと思います (2023年8月31日 21時) (
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作者名:トド | 作成日時:2023年8月31日 20時


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