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「審判さん、タイムお願いします!」
「サッカーにタイムはないぞ?」
「大事なことなんです、お願いします!」
「……わかったよ」
「ありがとうございます!」
円堂と鬼瓦のやり取りにより試合は中断。チームメイトを呼び集めた円堂はイナズマイレブンの秘伝書を開き、目的のページを探す。
「あったぞ、"炎の風見鶏"だ!」
「"炎の風見鶏"……?」
「解読できたのか?」
「ああ! その上、今日はお手本が目の前にある。絶対に物にしようぜ!」
どうやら、ここから先は"炎の風見鶏"を習得するための特訓を混じえるらしい。どうせなら最後まで伝説との本気の試合を見たいところだったが、こればかりは仕方ない。あの必殺技を習得出来れば、全国大会にだって充分通用するはずだ。
「で? 誰がやるの?」
「えーっと……この技は、スピードがビューン、ジャンプ力がビヨヨーン、か」
円堂が秘伝書に書かれている内容を聞かせた。相変わらずの擬音語のオンパレードである。ここまで来ると清々しい。
「風丸と修也がやれば?」
「ああ、陸上部の出番だな!」
「うん、風丸が適任だ」
端的に発したAの言葉に風丸と円堂が頷いて同調し、豪炎寺は少々目を瞠る。
「炎といえば修也だからね〜かっこいいとこ見せて! いつもかっこいいけど!」
「……わかった」
「イチャイチャすんな、バカップル」
ナチュラルに惚気を挟んだことには触れず、目元を和らげて微笑みかけた豪炎寺……に突っ込む染岡。相変わらずいつでもどこでも二人の世界に入り込むバカップルである。
◇
「風丸、豪炎寺! 頼んだぜ!」
「おう!」
特訓が始まった。円堂がゴール前に立ち、風丸と豪炎寺が二人でシュート体勢に入る。しかし、中々高さやタイミングが合わず、成功しない。
「うーん……二人の技術自体に問題はない」
そもそも、二人に限らず雷門イレブンはイナビカリ修練場での特訓が効いているのか、選手としての能力はそれなりに高いと言えよう。しかし、イナビカリ修練場はあくまで個人技と基礎運動能力の育成が主であり、連携となると勝手が違ってくる。連携必殺技が良い例である。手本としてもう一度、備流田と浮島が"炎の風見鶏"を打った。
「そうか……!」
いつになく真剣にフィールドを見つめていた影野が、何かに気づいたようだ。
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作者名:おひめ | 作成日時:2022年9月24日 12時