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イナズマイレブンは、先程までの軟体動物の如き骨の無さが嘘のように猛攻を開始した。先程までは幼なじみたる豪炎寺のかっこよさしか目に入っていなかったAも、試合展開に目を向けることにする。
少林が宍戸に出したパスを、菅田がカットした。そのまま民山にパスが渡り、流れるようにシュート体勢となる。
｢"クロスドライブ"！｣
縦横に金の衝撃波が走る民山の必殺技は、円堂の"熱血パンチ"をいとも容易く破ってみせた。なんというパワーだろう。
試合は再開し、雷門イレブンが再び攻撃に転じる。
｢"ドラゴンクラッシュ"！｣
染岡がシュートを放った。ペナルティエリアの響木は、右手にオーラを溜めている。これは、もしかして。
｢見せてやろう。これが、元祖"ゴッドハンド"だ！｣
習得してさほど時が経っていない円堂のそれとは、練度が桁違いの"ゴッドハンド"。さすがは伝説のイナズマイレブンの守護神といったところか。"ドラゴンクラッシュ"を完璧に受け止めた響木が、笑みを見せた。
｢すっげえ！ やっぱり元祖はすげえや！｣
反対側のゴール前にいる円堂は興奮した様子で拳を握っている。しかし、驚くのはまだ早かった。
｢さあ浮島、見せてやれ！｣
ゴールから投げれられたボールが前線に届く。
｢備流田ァ！｣
｢おう！｣
浮島と備流田が二人同時にボールを真上に蹴り上げた。そして、浮島はオーバーヘッドキックの体勢を取り、備流田と共に上と下から同時にパワーを込めたキックを放つ。ボールの両側から炎でできた翼が広がり、まるで生きているように羽ばたいた。
"イナズマ1号"のような真横から同時にシュートを放つ連携技ならいくつか見た覚えがあるものの、このように上下から放つものは初めて見る。
｢なにあれ……！｣
強力で強烈な必殺技が、ゴールに突き刺さった。
｢そうだ、それでこそイナズマイレブンだ！｣
伝説と言われるだけのことはあるものだ。こんなにも見る者を惹き付けるサッカーができるとは。
｢あれが、イナズマイレブンの力｣
未知の必殺技にざわめくサッカーバカならではの心臓を、Aは拳を握って抑え込む。
ああ、サッカーがしたい。あのフィールドを駆け巡りたい。何度でもしつこく思い起こされる熱は自分のものではないようで、それでいて心にしっくりとくるものだった。
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祝200話♡
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年9月24日 12時
