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空が橙に染まる帰り道。いつもは豪炎寺と二人で歩く帰路を、珍しく円堂と風丸を加えた四人で歩いている。話題は専ら、新必殺技についてだ。
「フットボールフロンティアが始まるってのに、新必殺技の"ひ"の字も見つからないなんて……」
「諦めるなよ」
「諦めてるわけじゃないよ。ただ、最悪の事態も考えておかないと」
比較的リアリストな風丸と、ど根性の権化円堂。対象的な二人である。
「新必殺技が見つかったとしても、身につけるまでは練習が必要だ」
「高さに重きを置いた必殺技なら尚更ね」
豪炎寺の言葉にAが頷いた。
「んー……ま、何とかなるさ!」
「何とかって……」
前向きすぎるほどに前向きなのは、円堂の魅力だと思う。
ぐーきゅるる……
……食いしん坊なところも。
「よーし、早速雷雷軒で作戦会議だ!」
「腹ごしらえは大事〜」
円堂と食べ物に釣られたAを、豪炎寺と風丸は呆れ顔で追いかけた。
「天宮のお守り、大変だろ? 豪炎寺」
「昔からだ、慣れてる」
「……そっか」
◇
「野生中を相手に、新必殺技も無しにどうやって戦うんだよ」
「俺はみんなを信じる!」
「はぁ?」
「たとえ新必殺技がなくたって、やってくれるよ。思い出せよ、俺たち、イナズマイレブンになるんだぜ!」
風丸の言葉に、ラーメンを飲み込んだ円堂が答える。イナズマイレブンという単語に、店内で新聞を読んでいる男性が反応を示した気がした。……気のせいだろうか。
「伸びるぞラーメン」
「あ、やべ……」
風丸が慌てて食べ始める。
「イナズマイレブン、か……」
「はぁ……じいちゃんたち、どんな必殺技持ってたんだろう。知りたいなぁ……」
イナズマイレブンの公式記録等は残っていたりしないのだろうか。よくサッカー部の様子を見ているお嬢様こと雷門夏未なら、何か探してくれるかもしれない。
突破口が見つかりさえすれば進んで行けるが、このままではきっかけすらなく、彼らの成長が停滞してしまいそうだ。そんなのは面白くないと考え、Aもラーメンを食べつつ頭を働かせる。
いつもご飯美味しいとしか思っていなかったので、食事をしながら考え事をするのは初めてのことだった。
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おひめ(プロフ) - マナさん» こんばんは。ご質問どうぞ( ⑅ᴗ͈ ᴗ͈)♡ (2022年8月5日 20時) (レス) id: 955601ba91 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 質問よろしいですか!? (2022年8月5日 18時) (レス) @page21 id: 0955411d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おひめ | 作成日時:2022年7月28日 19時