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｢修也、ぐっすりだったねぇ｣
｢すまない、眠れなかっただろう｣
｢寝顔見てたから平気〜｣
｢……｣
豪炎寺がそっぽをむく。照れてるの、と笑うAにうるさいと言い返す彼の顔は微かに赤らんでいた。
それにしても、朝起きた時の豪炎寺は面白かった。ぼんやり目を開けて一番にAの姿を見ると、一気に目が覚めたようで慌てて起き上がり箪笥に足をぶつけていた。
思い出し笑いをしていると、余計なことを考えているだろうと頬を抓られる。なぜバレたし。
｢あ｣
｢どうした｣
｢わたし修也を職員室まで連れて行けるかな｣
｢……お前は真っ直ぐ教室へ行け。変に寄り道をすると迷うだろう｣
｢さすがに学校の中では迷わないと信じたいけど自分を信じられない｣
｢それが正しい感覚だ｣
せっかく豪炎寺と同じ中学校に通えることになったのに、案内のひとつもできないとは。何とも歯痒い。
仕方なく学校の玄関前で別れ、教室へ向かう。
いつものように教室に入ると、円堂と秋が笑顔で席にやって来た。
｢円堂、秋。おはよー｣
｢おはよう！｣
｢おはよう。今日はちょっと遅かったわね｣
｢幼なじみと一緒におしゃべりしながら来たからかなぁ｣
｢え、幼なじみってもしかして昨日の!?｣
円堂の言葉に、そういえば昨日会っていたかと思い出す。
｢うん｣
｢すっげーよなあいつのキック力！｣
｢そうだね〜｣
｢でもあんなやつ雷門にいたっけ…？｣
｢転校生｣
｢ほんと！？ 俺あいつとサッカーしたい！｣
｢できるといいね｣
担任が教室に入ってきたので、大興奮の円堂を席につかせる。
廊下にちらりと見えたつんつん頭は、紛れもない我が幼なじみのものだった。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
