今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:49,531 hit
小｜中｜大
6. ページ7
.
円堂は案の定豪炎寺のキック力を目の当たりにして熱くなったらしく呼び止めようとするが、立ち止まることはない。
それもそうだ。彼はサッカーをやめたのだから。
｢A、帰るぞ｣
｢うん｣
｢あっA！｣
｢円堂、また明日ね｣
ひらひらと手を振って、すたすた歩いていく豪炎寺の隣に並ぶ。ぎゅっと手を握るとなぜか彼の身体が強ばった。
｢修也？｣
｢……なんでもない｣
｢ふーん｣
思い詰めた様子の豪炎寺だが、いち幼なじみである自分にできることなんて限られている。
昔からそうだ。豪炎寺は責任感が強く、自分を責めやすい。その上、正義感が強い割にメンタルはそこまで強い訳ではない。そのアンバランスなところこそ、Aが豪炎寺を放っておけず一緒にいる理由である(自分が世話を焼かれていることは二の次だ)。
｢修也、おなかすいた｣
｢……フクさんが夕食を作ってくれているはずだ｣
｢やった！ フクさんのご飯美味しいんだよね〜｣
早く帰ろうとご機嫌な様子で繋がれた手を揺らすAに豪炎寺は優しげに目を細めた。
｢退院してから急に食いしん坊になったよな｣
｢そう？｣
｢ああ。昔はお前がほとんど食べないから心配していたのに、今は食べすぎないか心配だ。あと偏食で同じものしか食べないのも｣
｢心配症だね、おにいちゃん｣
｢俺はお前の兄じゃない｣
じゃあお母さん？ と首を傾げたAの額にデコピンを食らわせた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
