もしも、貴方に言えたのならば (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:418 hit

私は彼の結末を曲げた-2 ページ2

凄い…大量の瓦礫だ
こんな中に閉じ込められていたら絶対に助からないだろうな
それでも総統が死んでしまったなんて信じたくない
「総統！どこですか？応答して下さい！」
絶対に広大な瓦礫の山の中で聞こえるはずがない
もし反ルスキニアの人たちに聞かれていたら間違いなく殺されていた
「リリアーナ…」
「総統！？」
間違いなく総統の声だ
私の名前なんて呼んでくれないのはちゃんと知っている
きっと総統は気付いていなかっただけでリリアーナ様の事が好きだったのだ
そうでなかったらリリアーナ様はきっと総統の事を庇って亡くなったりしなかっただろうし、総統も血を流して息絶えるリリアーナ様を見て涙を流す事もなかった
単純な話、私は彼の眼中になかった
それだけだ
「総統、今助けます！しばしお待ちください！」
必死に叫ぶ私の声なんて総統には聞こえていないようで
「この…世界は……変わるだろうか」
「きっと変わります！だから死なないで…」
遠くに総統の手が見えた
私は瓦礫に躓きながらも手のある方へ進む
「総統、私の身勝手な行いをお許し下さい」
総統の元に私は立ち、辺りの瓦礫を退ける
重くて身体中の骨が折れてしまいそうだったが、総統の為ならなんの苦にもならない
「はぁ…はぁ……」
頑張れA！総統の為だ！
私は疲れ切った体を無理矢理動かし、総統を背負い瓦礫の山を進んだ