もしも、貴方に言えたのならば (ページ3)

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淡い夢を見ている気がするページ3

ここは一体どこなのだろうか
何故かどこか暖かくて懐かしい
自分は間違いなくグランエグザイルの崩壊に巻き込まれて死んだ筈だ
ならばここは死後の世界なのか
それならばリリアーナやアラウダ、ファラフナーズ様もいるのか
どこだ、どこにいるんだ
リリアーナ！
「はぁ……はぁ」
自分の叫び声で目が覚めた
「ここは…なんかの倉庫か？」
辺りは灰色のコンクリートの床が広がっている
もしかしたら、自分は誰かに助けられて捕らわれてしまったのかもしれない
そうだったら確実に拷問や見せしめは避けられない
それに、サーラ様に悪影響を残すかもしれない
何とかしなければ
「体調はいかがですか？総統」
声の方を見ると、鉄製の扉から少年のような顔つきの女が入ってきた
声の高さで女である事は分かったが声を発さなければかなり男性に見える
「問題は無いが…一体ここは？」
その質問に女は答えず俺の前に跪き
「総統、私の我儘をお許し下さい！総統を助けたのは私にございます！」
「助けた…俺をか？」
もう、サーラ様が笑って生きていける世界が作れたのならばそれ以外もう望むことなど何もなかったのに
「左様にございます。恐らく総統は助け出される事などお望みになかった。助けたのは私のただのエゴです」
女は翡翠の様に輝く瞳で私を見つめる
その眼は、少しだけリリアーナに似ているかもしれない
「私は、貴方に生きていて欲しかった。生きて、この世界を、サーラ様のお創りになる世界を見てほしいのです！」
「生きていて欲しい…か」
そうか…そういう事か
最初は、どうしてリリアーナが俺を助けたのか分からなかった
何故死んでまで俺なんかを庇ったのか
きっと理由は簡単だ
俺に生きて、この世界を見て欲しかったのだ
そして今、俺の目の前にいる女も同じ事を考えているのだろう
俺は起き上がり、女に向き直る
「総統？」
「君、名前は？」
俺がそう聞くと女は背筋を伸ばし
「私はアデス連邦暗殺部隊隊員の、Aと申します！」
「暗殺部隊…」
今では無くなってしまった部隊の名を今でも名乗ってくれるのが、少し嬉しかった
きっとアラウダも喜んでいるだろう
「A…か。良い名だな」
「そう言って頂けて光栄です！」
こうして、俺の第二の人生が始まった