【黒バス】捨てられ悪女救済計画＃２【悪女】

第十八話…キレイな涙に隠された悲しみ ページ18

安藤絵美が泣いているところを、あたしは今日初めて見た。


「私だって愛されてみたかった…っ、

誰かに必要とされて、愛されて、褒められたかった…っ、


だから学校でも頑張ってたのに……―――皆私を否定した！！！」


安藤の悲痛な叫びは、あたしの心を掴み、強く揺さぶった。

ここまで過去が悲惨な悪女は今まで見た事ない。ただの愛されたがるミーハー系悪女さんより、膨大で想像も出来ない程の闇を抱えている事に、どうして気付かなかったんだろう。


藤山家……藤山グループのトップ。

その娘となれば、周りから特別扱いされて不思議ではないし、家が厳しくても『英才教育』の一言に尽きてしまう。しかし彼女の場合は違う。

『捨てられる』と言う事は親に『不必要』だと認識されると言う事で、まだ幼い歳でそれを経験するのはとても重すぎる。


―――だからこそ、安藤は『必要とされたかった』んじゃないか？


「安藤、さん……」

「私なんてっ…生まれなければ良かったっ…！誰にも必要とされないなら…っ、生きてる意味なんて無いっ…！！」

「そんな事言わないで！！……確かに安藤さん、凄く辛かったと思う。子供として十分に与えられるハズの親からの愛も、全て奪われてしまったんだもんね。

だけど、だからこそ、今は前を向いて生きていく時だと思うんだ」


最後、彼女は一筋の涙を流して言った。


『―――――ありがとう、天羽さん』

第十九話…桜の花弁が頬を撫でる→←第十七話…孤独な少女はただ愛されたかった

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す