魔法の薬【あんスタ】 (ページ21)

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ep.20 ページ21

漸く慣れてきた目を薄らと開けると、これまた派手な金髪と目が合う。
おぉ、なんとも……
ただ、手元に見える手枷には気づきたくなかったけど。

「あらもう目が慣れたのねェ、噂通りタフな子だわァ。ねェ泉ちゃん？」
「大体、あの天祥院が無理に連れ出してこいなんて言わなきゃ俺らがあんな何日も張り込む必要なかったんだしねぇ？あとはこの人質が暴れなきゃ俺らはミッションコンプリート。お役御免だよねぇ？」
「兄者と目が合ったから最悪でもあと2日後には戦争でしょ。エッちゃんはほんとに無茶ばっかりするよね〜」
「あ、もう目ェ覚めたのか？早かったなー！でももうすぐでつくぞ！"皇帝様"のとこに！お前も可哀想だよな！目をつけられたがばっかりに！って忘れてた！俺月永レオ！自己紹介はイントロと一緒だからな！お前は？」
「…Aさんでしょう？leader。あれほど天祥院のお兄様にinputされていたのにもうお忘れですか？」

おぉおぉ……なんとも話す機会すら与えてくれないイケメン集団……
いや、別にいいんですけどね。その出る声すらもかっこいいんだから私は黙ってたって。
むしろこの場においての最適解は沈黙では？
ってそれじゃ、私が連れ出された意味わかんないか。
いや、わかるか。天祥院ってこれだけ目の前で連呼されたらわかるわな。
だとしてもこの人達リテラシーってもんがないのでは？
仮にも億分の１で私が抜け出せたとして、その情報を零さんに渡しでもしたらこの人たち危ないんじゃ…

あれ？でもさっき兄者って………

「…あ、」
「…なに？俺の顔になにか付いてる？」
「零さんと同じ匂い…ぐぇっ」
「今度その名前俺の前で言ったらエッちゃんの前に出す前に俺がここからアンタのこと突き落として事故死にするよ」

恐ろしいほどの形相と恐ろしいほどの低音で脅された。
なんなら今胸ぐら掴まれてるから死にそう。
事故死前に今死にそうだ。
私が涙目でブンブン首を振れば、割って入るように金髪お兄さんが黒髪お兄さんを止めた。

「やだァ、凛月ちゃん辞めなさいよ。そんなことしたらウチまで危ないわァ。そう言えば、アタシ達も自己紹介してないわね♪
アタシが鳴上嵐。お姉ちゃんって呼んでちょうだい？で、どうせ他はしてくれないだろうから、あそこにいる銀髪が瀬名泉。彼も怒ると怖いから気をつけた方がいいわよォ？」
「怒らせるようなことしなければいいでしょソイツが。人質なんだしぃ？」
「…そういう所よ、泉ちゃん」