五奇人ともう1つの物語 (ページ30)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:30,200 hit

その時は突然に(後編) ページ30

零目線

ライブの途中でいきなりSophia側の音響等が消えた。
何かの陰謀かと思ったが、楓奏は冷静に対処していたので、もしかしたら楓奏が予め頼んでいたのかもしれない。
楓奏はスバルくんの為にBirthdayソングを歌いだして、サプライズとはこういうことだったのだなと思った。
続いての楓奏のソロ曲は、マイクがついていないはずなのに遠くまで届いていて、六奇人に数えられているだけあるなと思った。
途中、花弁がまい始めると、ふわりと微笑んだり、花弁を手に取ってみたりしていた。
何もかも順調に進んでいると思ったその時、突然、楓奏に向けてスポットライトが当たった。
楓奏は眩しそうに手で目を覆い隠した。
撒き散らされた花弁で足が滑ったのか楓奏は舞台セットの手すりをつかんだが、その手すりごと落下した。

最前列の人達「楓奏/かなで！！」

楓奏の元に駆け寄ると、楓奏は頭から血を流したまま動かなかった。

スポットライトが当てられた方を見ると、ニヤニヤしている2人組が見えて、殴りたいという衝動が起こり、
「あの野郎！！」
と言いながら立ち上がり、走り出そうとすると、誰かに服を掴まれた。

楓奏だった。
「楓奏！大丈夫か？」
と聞くと、楓奏は
「えへへー。大丈夫だよ。」
とつらそうに笑った。
「笑わなくていい。痛いんだろ？あいつら殴ってくる。」
と言うと、
「そんなことしちゃダメ。あの人たちは悪くないんだよ。」
と言った。
楓奏「あのね、僕ね、得をしたんだよ。オレンジに染まる会場が見れたし、落ちてる時も、キラキラしてたの！隅々まで会場が見えたんだよ。こんな体験、なかなか出来ないよね！」

零「楓奏、もういい。得なわけないからな。お前は被害者なんだ。なんでアイツらのこと庇うんだ？」

楓奏「だって、零お兄ちゃんも奏汰お兄ちゃんも凛月お兄ちゃんも泉お兄ちゃんも他の人たちも殴りに行っちゃいそうだもん。殴られたら痛いから...。」

零「わかった、殴りに行かないから。」

奏汰「ぼくもいきません。かなで！」

凛月「俺も行かないから。」

泉「...わかった。」

楓奏「よかった...」
それだけ言うと、楓奏は再び目を閉じた。

零「楓奏？楓奏、返事しろ！」

奏汰「かなで、めをさましてください！」

渉「楓奏くん？」

夏目「楓奏、死んじゃダメだヨ！」

宗「小僧！目を覚ますのだよ！」

スバル「目を覚ましてよ！ねぇ、楓奏！」

薫「楓奏くん？目を覚まして！」

しかし、楓奏は目を覚まさなかった。

...to be continued