【BROTHERS CONFLICT】13人の男と同じ屋根の下。３

第９４衝突 ページ13

扉の向こうに行くと今度は360°真っ白な世界にいた。

ただ後ろを見るとさっき通ってきたはずの扉が消えていた。

「ううっ……ｯあ"ｯ」

どこからか呻き声のようなものが聞こえてきた。

『誰？誰か、いるの？』

声を辿ってゆっくりと歩く。

すると一か所だけ灰色のような場所がある。

そっと、この場所に手を伸ばし触ろうとした

「ｻﾜﾙﾅ ｵﾚﾆﾁｶﾖﾙﾅ」

低く冷たい声に思わず手を引っ込めた

『あなたは誰、なの』

「ｳﾙｻｲ ﾖﾙﾅい、りやｺｯﾁﾆｸﾙﾅ ｸﾙﾅｸﾙﾅｸﾙﾅち、かﾉﾛｯﾃﾔﾙ ｵﾏｴﾗﾆﾝｹﾞﾝ ﾉﾛｯﾃﾔﾙげｹｶﾞﾗﾜｼｲｼｭｿﾞｸﾄﾞﾓﾒ ｺｯﾁﾆｸﾙﾅｧ"ｧ"ｧ"ｧ"ｧ"ｧ"ｧ"」

さっきと変わらない低く冷たい声の所々に、

苦しみもがいて一生懸命声を出そうと必死そうな声が聞こえる

もしそれがちゃんと話してるのであれば……その声を合わせれば

『いりやちかげ』

いりやちかげ……私と同じ苗字……

もしかして……

『お父さん、なの？』

私がそう聞いた瞬間灰色が薄まった気がした。

またゆっくり手を伸ばした。

もしこれが本当にお父さんなら、とそう考える

触れたかった、あの時は逃げてしまったから…

今日は絶対に逃げない

忘れもしないあの日私のせいで死なせたも同然なんだから。

謝っても許されないかもしれないけど……それでもたくさん謝る。

"死んで詫びる"

今の私にはその選択ができない

さっきお母さんに気付かされた。

本当はみんなが大好きで大好きで仕方なかったんだ。

だから、みんなのそばにいたい。

ずっと早くお母さんとお父さんのところに行きたいって思ってたけど今は違う

私は

『生きたい!!!!』

声に出し、覚悟を決めた。

伸ばした手を1度引っ込め、私は体ごと灰色の場所へ抱きついた。

少しずつ明るくなっていく灰色

「ﾆﾝｹﾞﾝｺﾞﾄｷｶﾞﾅﾏｲｷﾅ!!!!
ﾖﾙﾅﾆﾝｹﾞﾝ ﾖﾙﾅｻﾜﾙﾅﾆﾝｹﾞﾝﾌｾﾞｲｶﾞ!!!!」

低く冷たい声は怖かった。

さっきよりも悪意がある敵意むき出しの強気な声。

だけど離れたくなかった

『もしお父さんなら聞いて』

私は抱きつきながら話し始めた。

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