君がいないと、息もできない。

似てない2人:２ ページ9

そもそも、この病気は改善の傾向はあるものの根本的な原因が分からないのだ。


幼少期の過度なストレスが一因であることは疑いようがない



過換気症候群の主な原因は精神的な不安や心因性反応だと言われているが、2人の場合は通常のケースとは異なり、治療は困難を極めた



カウンセリングは週一のペースで行っているが、Aとしては不明瞭な完治を目指すよりは病状とうまく付き合っていくほうを選び

また、兄である赤司も少なからず同じ考えでいる





｢あれ？でもさっきの発作って、Aっちだけじゃなかった？
朝からAっちと会ってないのって赤司っちも同じじゃ無いんスか？｣



｢そーいや、赤司はAみたいに苦しそうじゃ無かったな｣


｢そうっスよ！苦しんでるAっち助けたのだって、赤司っちだし！｣



｢それは､､､｣




｢精神力の問題だ｣








突然降ってきた言葉に三人は驚き、視線を上げると背後の席に座っていたはずの赤司が腕を組んで見下ろしている



その眼差しは凍てついており、氷の刃のような鋭利さをもって見る者を射抜いた
彼の凄絶な美貌の抑圧がさらに拍車を掛けていた



しかし流石というか、片割れのAは片眉を僅かに動かしただけで、すかさず反論をした





｢はあ？何が精神力よ。赤司は周囲に見苦しい姿を見せたくなくて無理して意地はってるだけでしょ？苦しいな。とか思ってたら案の定、私が倒れて。

さっきだって、黒子から私の状況を報告受けてすぐに駆けつけたくせに｣




｢随分勝手な解釈をするんだな。お前を必要とするのは甚だ遺憾だが、一時的に抑え込むなら造作ない。現状に甘んじているお前とは違う｣



｢うわっ出たよ、チート発言。発作までも打ち勝つつもり？流石、赤司様は破天荒ですねえ｣




｢ははは、そのチートにこの前のテストを一点差で勝ったのはどこの誰だったかな？

それに、先週の体育の授業は全て“腹痛”と仮病をつけて休んだだろう。

____破天荒なのは、お前の方だ｣







全く似ていない双子の間で見えない火花がバチりと走る


剣呑な雰囲気を隠しもしない赤司の威圧感を受けて今なお抗うAに、
桃井が口角を引き攣らせながら裾を引っ張って小声で落ち着くように諭すが、構ってなどいられるものか。







そんな、見た目は全く似ていない双子に


よく2人を観察してきた黒子は“二人共似たようなものですよ”と

心の中で思いながら1人、バニラシェイクを口の中に運んだ

“あのとき”の顔:１→←似てない2人:１

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