真実:2 ページ22
「、、、夕食会など、ただの口実だ。実際は将来を見据えた話し合いだよ。
正直、祝言の話まで進んでいると思わなかったけどね」
無機質に言葉を紡ぐ赤司にAは押し黙る
まだ中学生の身分なのにも関わらず、もうそこまで話が進んでいるとは驚きだったが、
名家同志の繋がりをより強固にして利益を得るためには婚礼は早ければ早いほど閉鎖的な身内からは喜ばれる
Aは自身の境遇とは異なる赤司の重荷を想像することができず、やるせない思いに駆られた
.
.
嫡子ともなると所詮は家の繁栄の為の駒の一つであることを赤司は自覚していたが、いつでもあやつり人形でいるつもりなんて毛頭も無かった
支配者の座を掌握するために、自身の利益になるのなら祖父だろうが婚約者だろうが徹底的に利用する
悲願の成就のためなら、己の感情さえ殺すことも容易い
_____そう、確信して疑わなかった
しかし、振り向いた赤司は、何処か辛そうな自嘲的な笑みを浮かべていた
常に自信に満ち溢れ、己の判断を疑わない赤司らしからぬ姿に、Aは目を見開く
「結婚など一つの手段だと思っていた。
それなのに、とんだ誤算だったよ。
彼女と会って、愕然とした。近い将来、妻となる彼女と共に暮らすのか?
、、、お前と離れて」
「赤司、、、?」
窓から離れて、Aの目の前のベットに座った赤司は不意に、Aの肩に顔を埋めた
「俺はお前と離れては、生きてはいけないのに」
.
.
初めて顔を合わせた婚約者は美しく可憐な少女であった
父親の隣で慎ましやかに控える彼女に微笑むと、頬を染めて潤んだ眼差しで赤司を見つめてくる
会話を少し交わしただけでも分かる、紛れもなく当主の妻となるべくして育てられた証なのだろうと。
赤司は表面ではにこやかな笑みを浮かべつつ、内心ではとんだ茶番だと失笑した
だが、この少女を伴侶として迎えることは祖父が決めた決定事項であり、政略結婚に赤司の意思は存在しない
両親のように周囲を巻き込んだ恋愛結婚ができるとも、そもそもしたいと思わなかった
けれども、そこで赤司の脳裏に過ぎった彼女との未来は、彼の聡明な思考を停止させるには充分だった
当然だが今のように共に妹と過ごすことは許されない
それは分かっている事だった。
脳は現実を理解して受け入れているのに、感情が激しく拒否をしている
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明里香(プロフ) - 誤字がありました。「呪われているの体質」ではなく、「呪われている体質」です。 (2018年9月21日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
*杏花*(プロフ) - すごく寂しいです。お元気ならいいのですが...またいつか、このような素敵なお話を書いてくださる日を楽しみにしています。本当に素敵な作品をありがとうございます。私の出会った作品の中で、きっと不動の1位なんです、これ! (2018年8月6日 0時) (レス) id: fa9f0c3f67 (このIDを非表示/違反報告)
*杏花*(プロフ) - このお話が書かれていた当初も読ませていただいてましたが、最近になって追記があり、またもう一度読みたいな!という気持ちになりました。...何度読んでも本当に虜になるようなお話だと思います。これを読んでいる時は物語自体に魅了されているような気持ちです...! (2018年8月6日 0時) (レス) id: fa9f0c3f67 (このIDを非表示/違反報告)
キセキ(プロフ) - 舞蝶月姫さん» ありがとうございます!ただ、自分の欲望のままに書いたものだったので、、、。単行本なんて夢のまた夢の話ですね。ありがとうございます (2017年10月22日 15時) (レス) id: e42de48abf (このIDを非表示/違反報告)
キセキ(プロフ) - らららさん» ありがとうございます!3回!?3回ですか、、、!驚きです。続きは今書いている物が落ち着いたらにしようかと思います!それまで、暫しお待ちを! (2017年10月22日 15時) (レス) id: e42de48abf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キセキ | 作成日時:2017年9月18日 18時