第６７話 ページ19
「ジン兄ちゃん･･･連れて行ってほしいワン･･･」
「え、ええ･･･？」
ギンは上目遣いで俺を見つめる
ギンは2階の石の部屋で危険な目にあったばかりだ
今後の探索で同じような目に遭うかもしれない
俺は酒場に残っていたサラを見た
サラは俺に向かって小さく頷いた
「ギン、私と一緒にナオさんを捜そう」
「サラ姉ちゃん･･･ありがとう･･･ニャン」
ギンをサラに任せて俺はケイジとナオの探索を始めた
酒場ではソウとカンナが部屋の隅で休んでいる
「大丈夫？カンナちゃん」
ソウはカンナに話しかけるが、カンナは膝を抱えてうつむいたままだ
カンナにこれ以上の負担を掛けないためにも今は遠巻きに様子を見守るべきだ
「じゃあ、行こうかジンくん」
俺たちはまず一階の探索を始めた
遊技場に入るとカイとQタロウが部屋の穴を覗き込んでいた
「この大きな穴へ落ちてしまったわけではないでしょうか」
「そういや、この穴どこに繋がっちょるんじゃろな」
カイは大きな穴を覗き込んだ
それは、そのまま落っこちるんじゃないかってぐらいに
「カイ、そのまま落ちるなよ？」
心配になってカイの横で一緒になって覗き込む
「おっと」
カイは突然前のめりに穴に落ちかけた
「え、ちょっと、カイ！？」
俺が手を伸ばすとカイは伸ばした俺の腕を掴んで上体を戻した
俺は掴まれた勢いでそのまま穴に吸い込まれた
成人男性一人分の体重で引かれた
万全な体制でなかったことも災いして咄嗟に物をつかむこともできなかった
まずい
落ちる
この先に何があるのか気になるが、それ以前に生きていられるかどうかの問題だ
時間がゆっくりと進んでいるように感じた
辛うじて地上に残った腕を精一杯伸ばした
身体の半分以上が暗闇に吸われていく
誰か
この手を―
目を閉じた瞬間誰かに掴まれた
「すみません、咄嗟に掴んでしまいました」
頭上からカイの声がする
尻もちをついて俺は遊技場に戻った
助かった
久々に生きた心地がしなかった
「すみません、私も身の危険を感じたのでつい」
カイは俺の横で頭を下げている
「お前な･･･」
ついで許されるレベルじゃねぇぞ
こっちは殺されかけたんだ
しゅんと頭を下げるカイを見て怒る気力も失せた
「まあ、無事ならいいけどさ･･･」
「万が一、この穴にナオちゃんが落ちちゃったんじゃ心配だよねー」
ケイジは暗闇を覗き込んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮花(プロフ) - りんかさん» ありがとうございます！ちょうど今時間があるので、ガンガン更新しております！ (2018年3月15日 22時) (
レス) id: d09b3b9af5 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - はじめまして！いつも見てます！更新多くて嬉しいです！これからも楽しみにしてます！ (2018年3月15日 22時) (レス) id: 5c6a2a921b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青薔薇 | 作成日時：2018年3月15日 11時
