第7Q 買い物 ページ9
.
そう思った、のに。
「……仕方ない」
赤司がそう言ったから、私はおそるおそる顔を上げた。
すると赤司はその整った顔を私にぐっと近づけて、ニヤリと笑う。
「この狭苦しい小屋にいてばかりも良くないからね。早く外を案内しろ」
――いかにも悪い男風な笑い方だった。
でも、初めて見た赤司の笑う顔に、……私は不覚にもときめいてしまった。
「だったら早く顔洗ってきて!」
赤いままの顔を見られないように赤司の腕を引き、洗面所まで案内するのだった。
そうして、時刻は午前10時半。
ようやく家を出た私たちはまず駅に向かい、
二駅先にある某衣料量販店を含むショッピングモールへやってきた、のだけど。
「……人間風情がここまで僕に近づき、そのうえ触れるとは命知らずもいいとこだ」
そう。
赤司の目立ちすぎる外見のせいで移動するたびに逆ナンの嵐だった。
(私はどうやら妹かなんかに見えるらしく完全にシカトされている)
「肉食系女子、恐るべし」
「……とにかく早く用を済ませてあの小屋に戻るぞ」
某衣料量販店をあとにしながらそうつぶやく赤司に、
『小屋じゃねーよ』と心の中でツッコンだ。
(――確かに、)
赤司を見て騒ぎたくなる気持ちは分かる。
……整った顔やスタイルの良さに加えて、
次に立ち寄ったメンズショップで(今までは軍服の上着を脱いだだけだったので)
現代風の洋服に着替えれば、さらに視線を集めてしまう。
吸血鬼だから、なのかはよくわからないけど、
それでも赤司は今まで私が見たことのある男の人の中で一番整っているのは間違いない。
そして、それは他の人にしてみても同じなんだろう。
「……吸血鬼だからじゃないの?」
「今は人間同然だからと油断していたが、どうやらそのようだね。人間など僕からしたら魅了して血を得るだけの存在だというのに、滑稽だな」
平然とそう答える赤司に、思わず背筋がぞっとする。
.
305人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ - すごくキュンキュンしました! ヤバイですね! これからも頑張ってください! (2017年3月16日 22時) (レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています! 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ!はい!続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます! これからも更新も含めて頑張らせていただきます!! (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます! そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります!(*`・ω・´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ