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第3Q 影 ページ5

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「僕の名前は赤司征十郎。ヴァンパイア族の王子だ。僕達ヴァンパイア族には生まれながら許婚が決められているんだが、……よりによって僕の相手は人間のキミなんだ」




さらりとそう告げ、いそいそとうどんを食べ始める小人、もとい赤司。




「ヴァンパイア……? って、吸血鬼のことだよね」




私がそう聞くと、赤司は小さく頷いて話を続けた。



「そうだ。まぁ、今の僕は呪いをかけられているせいでキミ達人間とさして変わらないがな」

「呪い、って……」

「……人間を嫁に迎える上で僕に足りないものがある、と長老の婆に言われ、気がついたらこの姿に変えられていた」




そう言うとあっという間にうどんを食べきり、満足そうに息をつく赤司。


彼の様子を見つめたまま、私はしばらく微動だにできなかった。




(うわわ、ついていけない!)




心の中で赤司の話をバカにしながらすっかり忘れていた伸びかけのうどんを食べきって、


再び私が口を開いた瞬間だった。




「――テツヤ」




何かに気づいた赤司がそう言いながら立ち上がる。


すると次の瞬間、閉まっていたはずの窓もカーテンも勢いよく開き、


外から吹き込む風と同時に人影が浮かび上がった。



……今、ひとりでに開いた、よね!?



声も出せずにその場に固まる私をよそに、その影はだんだん人の形をなしていく。


テーブルから赤司がそれのそばに着く頃には、影は完全に人の姿になった。




――びりびりと肌を刺す威圧感に鳥肌が立つ。




人とそう変わらない容姿ながら、


あきらかに違うところを見つけてしまった私は知らないうちに震え出していた。



……瞳の色が水色と金色で。



暗闇にとけ込むような黒一色の軍服姿のくせに、水色の髪がやけにぎらついている。


ごくり、とのどが鳴った。




震える私をよそに二人はひそひそと何かを話し、話し終わったのかと思えばこちらを向く。


口を開いたのは、テツヤと呼ばれる人だった。




「――はじめまして、未来の妃殿下(ひでんか)。よろしければ名前をお教え願えますか?」

「……A、……です」




雰囲気とは裏腹の優しい声にそう答えると、その人は穏やかにほほえんでくれた。









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ゆあ - すごくキュンキュンしました! ヤバイですね! これからも頑張ってください! (2017年3月16日 22時) (レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています! 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ!はい!続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます! これからも更新も含めて頑張らせていただきます!! (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます! そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります!(*`・ω・´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍沢鳴 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年4月9日 0時

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