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太宰Side

少しだけ部屋を空けて、首領に報告しに行った。安吾が1回特務課に調査のため戻ったことを伝えるためだ。

そしてそのまま、マフィアを出て横浜租界に向かう。私の目的の人物がそこにいるからだ。歩いて居ると、麻の布を被った、汚いような綺麗なような人物が見えた。

 太宰 「やァ、元気かい?久しぶりですね。此処での生活はどうです?」

 ? 「ホッホッホ。若人(わこうど)は年寄りの話に興味があるようだな。何だ、坊。」

 太宰 「もう私は坊ではないのだけど?」

 ? 「私にとってはいつまでも坊は坊だ。」

 太宰 「貴方の方が私よりずっと下でしょう?」

 ? 「そうかもしれぬな。」

今更の紹介だが、彼の名前はデリート。私も本名を知らないが、異能力の関係でデリートと呼ばれている。異能力者の界隈では有名人だ。

 太宰 「私の妹が昔お世話になったみたいですね。」

 デリート「嗚呼、よく遊んでくれた娘か。近頃娘が来ないのだがどうかしたかね?」

布の下から黒い目を光らせ、私を睨むデリート。

 太宰 「ここじゃなんだ。一緒にカフェでも楽しみません?赤煉瓦の近くとかどうでしょう。」

 デリート「バナナチョコクレープ!!これ絶対ね!行くぞ、坊!遅い奴は置いてゆくぞ。」

デリートは赤煉瓦というと麻の布を勢いよく外し、白髪(しらが)をみせる。
だが、立ち姿は年寄りではない。背筋もまっすぐで、表情も明るい。まるで子供のまま大人になった感じだ。......中也もああなるのかな。ずっと子供だし。

 太宰 「急に元気になりましたね。」

 デリート「赤煉瓦倉庫の前にはとても美味なクレープ屋があると聞いた。まずはそこに向かうぞ!実際に横浜1美味だからな。」

 太宰 「何で租界に居るのに1番美味しいとか判るの......。」

 デリート「繰り返した(・・・・・)!!」

デリートは租界の子供たちの頭を撫でながらどんどん先に行く。
私、お金は払いたく無いのだけど......。まぁ、Aの手掛かりになるからいいだろう。

そう思い、元気な先を走る高齢に見える少年を追いかけ、赤煉瓦倉庫へと向かった。



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本当に不定期更新になります。

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作成日時:2021年4月1日 19時

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