20音 シスコンではありません ページ22
「ホントさあ……ひどくない? コンサート行ったのにオレに気付かないし、二日前に一言だけ言って本当に合宿行っちゃうんだよ? 二日前だよ!? もっと早く言ってほしいんだけど」
「うっせえ!!! お前のシスコントークは聞き飽きたっつーの!!!!」
「ザキだってコンサートでAのこと見て鼻の下伸ばしてたくせに」
「伸ばしてねえっつーの!!!!」
「おい、テメェら」
騒いでいた原と山崎を、花宮がぎろりと睨み黙らせる。
「ったく、お前らが遅刻するからバスの出発が遅くなっただろうが」
「……布団がオレを離してくれなくて」
「まじで布団嫁だわ」
「そいつ誰とでも寝るぞ」
「うわあああ古橋言うなああああ」
「ちょっとザキのせいでオレまで浮気されたみたいになったじゃん最悪!!!! 死の呪文の分際で!!!」
「それ関係ねえだろ!!!!!」
「だから黙れねぇのかよバァカ!!!!!」
我慢していた花宮の怒声がバスに響いたそのとき、予定時間より十五分程遅れて目的地へと到着した。
「オラさっさと降りろ。荷物置いたら体育館集合な」
「ああ」
「うぇーい……」
「あーい……」
無機質な古橋の声と、間延びした山崎と原の声。
瀬戸は未だバスの最後列座席でアイマスクをつけて寝ていた。
そんな瀬戸を起こしたのは、原の嬉しさと驚きの混じった悲鳴だった。
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作者名:紫 | 作成日時:2019年3月6日 1時